さらに、経済状況、金融市場状況を考えれば、選挙後のリスクは急膨張する。
野党の新党結成や消費税の食料品ゼロ税率に対抗して、高市自民党も「飲食料品は2年間に限り対象としないことについて、今後、検討を加速する」と打ち出した。これは、自滅だ。なぜなら、選挙に勝っても負けても食料品ゼロ税率は実現し、財政はひっ迫し、国債価格が暴落し、財政運営、経済運営そのものが困難に直面し、やりたい政策はできなくなる。それどころか、経済危機、金融危機になり、支持率が急落することは必至だ。
選挙後、どっちに転んでも苦しくなるような解散総選挙をやって、自分の首を絞めた。意味不明だが、これは、目の前の選挙に負ける小さい確率のリスクを回避するために、その後の確実でかつ対応策がほぼない困難な大きなリスクを必然とすることに目をつぶる、というリスクコントロールの観点からはあり得ない選択肢をとったからだ。
しかも、この苦しいジレンマ、目の前の小さなリスクとその後の確実で困難なリスクの選択というリスクジレンマに自らの能動的な選択、解散権を行使するということで陥ったのだ。どうかしている。
高市首相に贈りたい「3つ目の言葉」
ここで、私の今回の3つ目の言葉、「取ろうとするリスクはリスクではなく、リスクをなくそうとすることはリスクである」を首相に贈りたい。
これは完全に私オリジナルであるし、今回の原稿で唯一意味のある言葉だ。よく「リスクを取らないリスクがある。日本はこの罠に陥りがちだ。もっとリスクを取れ!」とかいう人がいるが、これはまったくの間違いだ。むしろ、日本中にリスク被害を広げる諸悪の根源である。リスクはとらないに越したことはないのである。
例えば「日本企業でリスクを果敢に取るのはX氏だけだ」、などという言葉を聞くが、そのX氏はリスクを取りたくて取っているのではなく、リターンを貪欲によりたい気持ちが強すぎて、その結果、やむを得ずリスクを取っているのだ。
そして、できる限りリスクは自分ではなく人に負わせようとする。だから、銀行融資をできる限り使い、アップサイドは全部自分に、ダウンサイドは銀行と政府(バブル破綻を税金で救う)に、という方針を貫いているのだ。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら