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「大人のキャリア迷子」を救う意外な方法――なぜ今、大企業が「高校生の進路指導」を社員研修に導入するのか?

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  • 山本 尚毅 日本総合研究所創発戦略センター所属
  • 山口 大輔 河合塾学校教育サポート本部学校事業推進部部長
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「迷い」の可視化は、定年を意識し始めるミドルシニア層にも強力な武器となる。

さまざまな大企業から50代前後の社員が集まる「ライフシフト大学」でも、卒業生の有志が企画したイベント「セカンドキャリアの次のステップを描く夜」に「ミライの選択」のメソッドが導入された。参加者は、味の素、サントリー、パナソニックなど、日本を代表する企業の50代前後のベテランたちだ。

大企業で長年勤めた社員の多くは、経験豊富であるがゆえに、過去の成功体験や社内の常識にとらわれがちではないだろうか。これは経路依存性と呼ばれ、過去の延長線上でしか未来を描けない状態といえる。

「超安全」と「超冒険」を組み合わせる

このイベントは私(山本)も一緒に企画した。ミドルシニアの方々は、どうしても『今の会社に残るか、転職するか』という二元論で考えがちだ。しかし、人生100年時代、選択肢はもっと多様でいいはず。今回の取り組みで一番可能性を感じたのは、ワイルドカード(突飛な選択肢)を考えることになる。これは、ナシム・タレブが提唱した『バーベル戦略』の応用だ。

バーベル戦略とは、資産の9割を安全な投資(本業・安定した雇用)に置き、残りの1割を超ハイリスク・ハイリターンの投資(副業・ボランティア・趣味の追求など)に投じる考え方だ。中途半端なリスクを取るのではなく、極端な組み合わせを持つことで、不確実な未来に対する「反脆弱性(アンチフラジャイル)」を高めることができる。

講座では、先ほどのCCCと同じく「迷い」をマッピングしてもらい、グループで共有したのちに、ワイルドカードを書き加えてもらった。

「週4勤務にして大学院に通う」「アフリカの仕事をオンラインで手伝いながら、役立つ資格を取得」といったワイルドカードを思いつくと、参加者たちの顔色がパッと明るくなったという。「凝り固まっていた思考がほぐれ、本業にも新たな意欲が湧いてくるようです」と企画を主導した岡本孝敏さんは話してくれた。

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【迷いは「外在化」して共有する】

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