「大人のキャリア迷子」を救う意外な方法――なぜ今、大企業が「高校生の進路指導」を社員研修に導入するのか?
一方で、40代・50代の管理職層は、部下との1on1ミーティングにおいて、従来の経験則だけでは答えにくいキャリア相談が増えていると感じていた。「正解を教えなければならない」「導かなければならない」というプレッシャーから、対話が硬直してしまうのだ。
そこで導入されたのが、「迷い」をマッピングして可視化するワークショップだった。
参加者は、自分が今直面している選択(転職、異動、副業、あるいは現状維持など)をマップの上に書き出し、それぞれの選択肢を「自分の価値観(判断基準)」で点数化していく。
「ミライの選択」ではこれを「総合評価法」と呼んで、高校生たちが文理選択したり、受験先を決めたりするときに使ってもらっているが、これが大人の意思決定にも非常に役立つという声を各方面からいただくようになっている。
「迷い」を共有すると、上司と部下の関係が変わる
CCCの人事担当者は、導入の手応えをこう語る。
「これまでのキャリア研修は、どうしても『強み』や『やりたいこと(Will)』を言語化することに主眼が置かれがちでした。でも、多くの社員は、その手前にある『モヤモヤ』の段階にいます。今回のトライアルで特徴的だったのは、そのモヤモヤを『迷いどころマップ』として外在化(可視化)し、考える対象として扱えるようになった点です。行動を急がせるのではなく、「何に迷っているのか」「何を大切にしているのか」を言葉にできる状態をつくること、に有効だったと感じています」
特に、研修を受けた管理職層からは、自身の意思決定を整理するプロセスとして有効だったという声が多く聞かれたという。
「管理職自身も、実は迷っています。意思決定をする場面も多く、業務上でも私生活でも、迷いが多い。今回の内容を通じて、自分の迷いを構造的に捉え直すことで、1on1の場でも『正解を示す』以外の関わり方を考えるきっかけが作れそうだと感じています」
部下が「AかBかで迷っている」と相談に来たとき、上司はつい「Aにすべきだ」と答えを出したくなる。しかし、マップを使うことで、「AかBか」ではなく、「何を大切にして選ぼうとしているのか」という観点で対話する可能性が見えてきた。
つまり、「迷い」を個人の内面に抱え込ませず、共有可能な形で扱うことが、今後の対話やキャリア支援の質を高めるための一つのヒントになりつつある。課題にすぐ答えを出すのではなく、考え方そのものを支えるアプローチとしての位置づけだ。

















