―――Mさんは、海外大学にも合格したのでしょうか?
孫:はい。しかし結局、本人がやりたいと考えた量子コンピュータの分野であれば、東大が世界最先端だと考え直し、他の海外大学の合格ももらっていたけれどそれを蹴って東大に決定させたということだそうです。
―――なるほど。Tさんと同じく、東大を通過点として見ている形ですね。
孫:その通りです。ちなみに、Tさんは「腕試し」の意味も込めて、東大の一般入試も受験しています。合否判定はされませんが、点数開示をしたところ、1次・2次の合計で約390点だったそうです。これは2024年度の理3(東大内でも最難関として知られる科類)の最低点を、約10点上回る水準です。
―――つまり、一般入試でも十分に通る実力があった。
孫:はい。東大推薦合格者は、「一般では通らない人」ではなく、「一般でも通るけれど、推薦という形式のほうが本質を評価してもらえる人」だと考えたほうが実態に近いです。
―――では、東大推薦では何が一番見られているのでしょうか。
孫:自分は、「どこまで行ったか」ではなく、「どこまで行こうとしているか」を見ている入試だと思っています。わからないことに出会ったとき、どう向き合うか。行き詰まったとき、どう考え続けるか。「まだ足りない」と感じたときに、次に何を求めるか。
Tさんの「消化不良感」や、Mさんの「よりよい研究環境を探す姿勢」は、まさにそこを評価されているように感じます。
選ばれるのは「なぜ東大?」を“言語化できている人”
今回、孫さんへのインタビューを通じて強く感じたのは、「東大推薦合格者は、なぜ東大に行くのかを“言語化できている人”が多い」という点でした。
それは、「偏差値が一番高いから」「国内トップだから」といった外側の理由ではありません。
「このテーマを突き詰めるなら、今の自分にとって最適な環境が東大だった」という、きわめて内側からの動機です。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら