始めてから数カ月はなかなか利益が出なかった。通販顧客は約9割がリピートなので、リピート顧客を作るのに時間がかかった。100億円の投資をしたうえ、15億円の増資をした。リピート顧客ができてからは比較的順調に伸びているとのこと。ゼロから立ち上げ、15年で成長した。
今後の課題は若者への知名度を上げることだと語る佐々木社長。実際、ユーザーは40〜60代の主婦が中心だ。その場でも4割程度の学生しか知らなかった。このように、QVCのビジネスの説明においては、かなり具体的なデータが開示された。
その後、QVCのスタジオ見学会が始まった。カメラマンは5台のカメラを1人で、調整室にて遠隔操作する。人件費を抑え、その分、カスタマーサービスを強化するためだ。スタジオには出演者とディレクターしかいない。コールセンターの様子など、テレビ通販の裏側をとことん見せた。
社長講演と、見学会の後は、グループワークだ。40人が10人ずつ4つのチームに分かれて行う。QVCの社員に扮した三井物産社員に質問することで、午後のグループワークに役立つ戦略カード5枚を獲得できるというゲームになっている。ここでもQVCの特徴や強みが、学生たちにわかりやすく伝えられた。
英語で買い付け交渉をするビジネス・ゲーム
海浜幕張でのワークを終え、大手町に戻ってからは、またグループワークが待っている。貿易を再現したビジネス・ゲームだ。外国籍の社員が数名登場し、QVCで売るためのコーヒー豆の買い付け交渉をするというものだ。ワークは、英語で行われることが伝えられ、参加した学生には戸惑いも見られた。登場した社員は、実は全員が日本語ペラペラだ。しかし、そんなことは伝えられず、総合商社らしい、英語での交渉が始まった。
社員が各国の交渉窓口という設定で、チームで戦略を立てながら、与えられたカードをヒントに交渉をすすめる。各チームには、ファシリテーターがつき、アドバイスをする。コミュニケーション、マーケティング、プライスと3つのプロセスに分かれている。
実は設定上、一度の交渉では絶対にクリアできないようになっている。クリアのための方法も、国やステップによって違う。総合商社でのタフな交渉を再現したものである。
コミュニケーションのプロセスにおいては、世間話や、何が好きかをヒアリングする場面も設定されている。人間関係の構築の練習のようだ。社内ネットワークを使い相手の欲しい情報を取ってくる、粘る、条件を提示し直すなどしてゲームは進んでいく。相手と信頼関係を構築し、情報を収集し、WIN–WINの関係を築くように交渉するという総合商社での仕事のシーンを再現したものになっている。
最後には、トルコに研修で送り込まれている社員がSkype経由で講演。室長からのスピーチでしめ、懇親会を経て1日のプログラムは終了した。
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