その後、人材開発室の田中佑依氏により三井物産、総合商社に関する説明が行われた。三井物産が日本初の総合商社であることなど、ルーツまで含めた解説になっていた。物流トレーディング、事業投資という総合商社のビジネスの柱が説明された。「事業投資においては、単に資金面だけでなく、人材を送り込むことを含め、さまざまなサポートを行うことが特徴です」と、田中氏の声が会議室に響く。就活生向けの説明よりも、より簡潔かつ具体的な説明になっているという印象だ。
続けて登場したのが、メディア事業部放送事業室の坂本朋美氏だ。入社2年目の彼女は三井物産の事業投資先であるテレビショッピングチャンネル「QVC」を担当している。テレビショッピング、キッズ向けチャンネル、無料BSチャンネルなど三井物産のメディア事業全体の説明があったうえで、QVCの説明が始まった。
QVCは24時間365日生放送されるテレビショッピングチャンネルである。立ち上げからこれまで、10億個以上の商品を販売してきた。現在は、社長として三井物産の佐々木迅氏が出向している。千葉ロッテマリーンズのホームグラウンドである、QVCマリンフィールド(旧千葉マリンスタジアム)のネーミングライツを取得しているので、名前を聞いたことがある人も多いことだろう。
坂本氏の説明が終わった後、人材開発室の田中氏から学生に衝撃の告知がなされた。
「総合商社で求められる力は、現場に行くこと。いわば、現場力です。さっそく実践してみましょう。これから、海浜幕張のQVCの現場に行ってきてください」
そう言われた瞬間、学生たちはザワザワし始めた。「マジかよ」「本当に行くのか……」という空気が漂っていた。40名の学生たちは、手配された貸し切りバスで海浜幕張にあるQVCまで移動したのだった。
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大手町から1時間弱のバス移動の後、海浜幕張のQVCに到着。さっそく三井物産から出向している佐々木社長による講演があった。主に、QVCを日本で始めるまでのプロジェクトストーリーだ。
佐々木氏は海外のQVCの存在を知り、生放送のテレビショッピングは面白いと関心を持ったという。三井物産における日本でのQVCの展開は「社内起業」のようなものだった。三井物産はケーブルテレビのネットワークがあることから、チャンネルの提供ができるとQVCの本社にプレゼンをし、許諾を得た。三井物産の社内での稟議を通すのに大変な苦労を要し、日頃のコミュニケーション、社内キーマンへのアプローチの重要性を再認識したという。
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