埼玉県民「え?東京ドームって歩いて行けるの?」 敗北感を味わった高校生が就職→最初に住んだ「東京の街」の実態と、馴染めた意外なきっかけ

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お菓子を食べながら、部活の先輩の愚痴を言ったり、顧問から怒られた話で盛り上がったり。ふと時計を見ると、もう12時半を過ぎていた。ひとり焦る僕に対し、友人は「13時過ぎに出れば大丈夫」「歩いて行くから大丈夫だよ。30分くらいで着く」と言った。

「え? 歩いて行くの? 東京ドームって歩いて行けるの?」

東京の土地勘がない僕は千石の場所を把握しておらず、都心に近い場所だとは思っていなかった。こんな住宅街から東京ドームって行けるの? 小学生の頃、家族と一緒に巨人戦を観に行った時は、電車を乗り継いで1時間以上かかったけど? 

「そんな場所に歩いて行けるのか。うちの近くから歩いて行ける施設は競艇場くらいだぞ……」

そのとき妙な敗北感を覚えた。友人にとっての普通が、僕にとっての特別だった。都民の圧倒的パワーを見せつけられた気がした。

敗北感を覚えた千石に、ひょんなことから住むことに

それから6年後。大学に進学し無事に卒業した僕は、新卒で某不動産会社へ就職し、一人暮らしをしようか悩んでいた。最初は実家から通っていたのだが、満員電車がつらすぎたのだ。

「中村が『会社の近くに住みたい……』と泣いてるらしいぞ」

そんな噂を聞きつけ、「うちの下の部屋が空いたらしいけど、住む?」とメールをくれたのが、千石に住む例の友人だった。

乗換案内で調べたところ、千石駅から会社の最寄駅までは乗り換え無しで15分だった。実家からだと2回乗り換えるうえに1時間近くかかる。通勤時間が40分以上短縮できるだけで嬉しかった僕は、すぐに不動産会社に問い合わせ、数日後には契約していた。はじめての一人暮らしは、広さ7.5帖の1ルームで家賃は7万円だった。

千石駅
千石駅。筆者が住んでいた頃はフレッシュネスバーガーはなかった(筆者撮影)
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