勤務中のスマホゲームで懲戒、その境界線は 埼玉県飯能市の職員は、なぜ処分を受けた?
勤務時間中にスマートフォンでゲームをしていたとして、埼玉県飯能市の男性職員が10月中旬、市から戒告処分を受けた。飯能市によると、水道部に所属する職員は約1年前から、勤務時間内の移動中やトイレなどで、1回10分程度スマホゲームをしていたという。
職員が参加していたのは、実際の観光地や公共機関などをインターネット上で取り合う陣取りゲーム。飯能市役所もその陣地の一つで、他の参加者が市役所を攻めると妨害されていたことから、不審に思った人が市役所に連絡して発覚した。市の調査に対して、職員は事実関係を認めたという。
たしかに、勤務中にゲームをするのは、市役所の業務とは関係がなさそうなので、懲戒処分を受けてもやむをえないようにも思える。だが、企業などの勤務時間の移動中やトイレ中に、スマホを見ている人は多いのではないか。スマホでゲームをしたら、勤務先から処分されても仕方ないのだろうか。大部博之弁護士に聞いた。
「職務専念義務」に規定されている
「企業が労働者に対して、『懲戒処分』を課すことができるのは、就業規則に懲戒事由を規定している場合に限ります。そして、どの企業の就業規則にも、『勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと』といった職務専念義務の規定があるはずです。
また、それとあわせて、職務専念義務を違反した場合について、その程度に応じて、(1)けん責(2)戒告(3)減給(4)停職(5)免職などの処分を可能とする懲戒事由を定めているはずです。
なお、公務員の場合は、職務専念義務や懲戒事由が法律によって規定されています」
どんなことをしたら「職務専念義務に違反した」と評価されるのだろうか。