便器だって洗剤の箱だって数億円のアートになる!?常識を疑い、新たな問いを立て続ける現代美術という「ゲーム・チェンジャー」

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138億年を疾走する圧倒的にわかりやすくてドラマチックな 全人類の教養大全2
「これを芸術と呼んでOK……?」大炎上の顛末(写真:Haru photography/PIXTA)
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空間に現れる謎の物体。これを芸術と呼べるのか、見る者をとまどわせる絵画――現代美術は、私たちが“当たり前”だと思っている価値観を転覆させる「思考のレッスン」だといえるかもしれません。
前回の記事は、20世紀初頭まで、芸術は「進化」の物語の中にあったことを見てきました。写実から抽象へ、より純粋な表現へ。
しかし、その直線的な進化の歴史に対し、「そもそも芸術って何なの?」という根本的な問いを投げかけ、ルールそのものを書き換えてしまったのが現代美術です。
今回は、現代美術の父と呼ばれるマルセル・デュシャンから、ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホル、そして現代のNFTアートにいたるまで、彼らがしかけてきた「知的ゲーム」の正体を、東京都現代美術館学芸員である藪前知子氏が解説します。
前編はこちら
後編はこちら

現代美術の父の「ちゃぶ台返し」

モダニズムが「絵画の純粋性」を追求していたころ、それとは異なる文脈で現代美術の扉を開いた人物がいます。

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フランス生まれのマルセル・デュシャン。「現代美術の父」と呼べる存在で、彼が1917年に発表した『泉』という作品は、現代美術を語るうえで避けては通れない作品です。

『泉』とは何か。それは、既製の男性用小便器に「R.MUTT」という偽名のサインをしただけのアート。

それまで芸術といえば、ゴッホのような天才性を持った芸術家が、みずからの内面や魂をぶつけて制作されたもの、といったイメージが主流でした。

しかしデュシャンは、街の商店で売っている便器を買ってきて、それをそのまま自分が審査員をしていた展覧会に偽名で出品したのです。

「つくった」のではありません。レディメイドといわれる既製品に偽名のサインをしただけ。デュシャンはそのうち、人が買ってきたものにもサインをして「泉」と呼ばせたりもしています。

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