「全部処分していいから」と言い残し、自ら施設に入った母 その言動の裏にあった"真意"に胸が痛む…子が直面した《実家じまい》の現実

✎ 1〜 ✎ 78 ✎ 79 ✎ 80 ✎ 81
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

現場では、家具をスムーズに運び出すため、まずは襖やドアカーテンなどの建具を取り外す作業が進められていた。二見氏が手を動かしながら、こう漏らした。

「お義母さんが『施設に入りたい』と言ったのは、本当は、残される家族のことを思いすぎて出した答えなのかもしれません。理由は人それぞれですし、第三者がどうこう言えることではありません。結局は当事者同士でひたすら話し合うしかないんです。30~40年と積み重ねてきた生活を、たった1~2時間の話し合いで決められるわけがない。説得する側もそう考えることができれば、どれだけ時間がかかってもイライラしづらくなると思うんです」

実家じまい
一切モノがなくなった室内(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
実家じまい
「自分たちだけではとても片付けられなかった」と話す依頼者(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

「心配だから施設に」の裏にある“本音”

家族が抱える「本音」についても、こう指摘する。

ゴミ屋敷連載
この連載の一覧はこちら

「『1人だと心配だから施設に』という言葉を、単なる善意としてだけ見るのは少し違う気もします。言葉を選ばずに言えば、自分たちの生活から『親の心配』という負担を取り除きたい、という思いもどこかにあるはず。

本当に親のことだけを100%考えるなら、仕事が終わったあとに毎日会いに行き、毎日電話をすればいい。でも、現実にはそんなこと不可能です。だからこそ、どちらが正しいという正解を求めるのではなく、折り合いをつけていくしかないんです」

部屋に残された大量のCDやDVDは、義母がこの家で過ごした時間の証しでもあった。そのすべてを処分するという決断の裏には、自分が判断能力を失う前に自分の身の回りを整理しておきたいという、義母なりの「家族への最後の配慮」があった。

実家じまい
生活感が色濃く残っていたキッチンもすべて片付いた(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
國友 公司 ルポライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事