リビングには、住人の女性が飾っていた掛け軸や趣味で集めていたCDやDVD、家族が残していったと見られる松田聖子やピンクレディーといった往年の歌手のレコードも大量に残されている。
女性は入院以来、一度もこの部屋に戻ることができておらず、まだ自身の持ち物を選別できていなかった。
一方で、不動産の権利書などの重要書類は1つのファイルにまとめられていた。住人自身による管理が行き届いていたため、片付け後の諸手続きについては、家族に大きな混乱は起きなかったようだ。
「全部処分していい」の真意
今回の片付けを依頼したのは、住人の1人息子の妻、つまり義理の娘である。彼女がこれまでの経緯を振り返る。
「数カ月前に義母が急に倒れて病院に行くことになり、そのまま立てなくなってしまいました。それまでも足が悪かったので、買い物などは私が付き添っていました。検査の結果、コロナに感染していることが判明し、2カ月半の間、入院となりました。その間も歩行器を使わないと歩けない状態が続いていました」
住人の女性は、依頼主との同居も検討したが、息子夫婦の自宅には階段があり、身体状況を鑑みると現実的ではなかったという。
「施設に入ってもらったほうが私と夫も助かるし、義母も『そのほうが安心だから施設に入りたい』と言ってくれたので、この家を引き上げることにしました。施設に入ることを嫌がる人が多い中で、スムーズに受け入れてくれたので、事が順調に進んでよかったです」
義母はこの部屋に39年もの間、住んでいた。依頼主である義娘も、かつてここで12年間同居していた時期がある。



















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