《ミャンマー軍事クーデターのその後》住居、仕事、お金、すべてを奪われても不服従運動を続ける市民たち─死も「怖くない」と語る彼らの"胸中"

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「今の鉄道は揺れがひどいんだよ。ご飯を食べていたらお皿が飛んでいっちゃうくらい。でも今年、日本の援助で導入されるはずだった鉄道は、線路も信号も車両もすごくいいんだ。僕たち、もうJICAの研修も受けたんだよ。とても勉強になった。この国が民主化したら、僕らは鉄道省に戻って、この国の未来のために働くんだ」

CDMをつづける一人ひとりの胸に、こうした小さな希望の光があるのだろう。長く暗い軍政のトンネルを抜け、民主主義の下でようやく手にした自由と誇り。その手触りが彼らの記憶にある限り、CDMは終わらない。

ミャンマーの壁
市民が書いた、軍の支配に反対するメッセージが、バス停に貼られていた。「善き人々は悪い法には従わない」「私たちの投票を尊重して」「独裁は失敗する」「軍靴の前には決して跪(ひざまず)かない」など書かれている(写真:2021年2月19日、筆者撮影)

市民が民主主義を取り戻す日を信じて…

ミャンマー、優しい市民はなぜ武器を手にしたのか
『ミャンマー、優しい市民はなぜ武器を手にしたのか』(ホーム社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ミャンマーはどうなっていくんだろう。友人は、こんな心情を話してくれた。

「欧米は、ウクライナにはすぐ武器を支援したでしょう。ミャンマーだって同じように不条理な目に遭って、必死に抵抗している。でも国際社会は助けてくれない。がっかりしたよ。でもまぁ、仕方ない。自分たちでなんとかするしかないね」

ミャンマーの人々を絶望させ、彼らに武器を持たせたものは、軍の蛮行だけではない。世界の人々を信じて叫び続けた彼らの声に応えなかった、日本を含む国際社会の責任でもあるのだ。

表面だけを眺めると、民主化を熱望する人々の炎は鎮まり、軍の支配が浸透していくように見える。だが、人々と言葉を交わせばわかる。彼らの決意は以前と何ひとつ変わらず、まっすぐ軍政打倒に向かっている。偽りの平穏の下、人々の心の中で静かに燃え続ける、反軍政への熾火。彼らが民主主義を取り戻し、本当の平和が訪れる日を信じて、祈る。

【あわせて読む】
《日本人が見たミャンマー軍事クーデター後のリアル》激しさ増すデモと容赦なき弾圧。「どうか無事に」の思いも虚しく、19歳女性が頭を撃たれ…
《ミャンマー軍事クーデター後の惨状》拉致、銃殺、胴体切開による拷問─非道すぎる軍を前に市民が貫いた「非暴力」も無力に…日本の対応は
西方 ちひろ フリーライター

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にしかた・ちひろ / Chihiro Nishikata

関東出身。学生時代に世界各地を旅して、日本と途上国との格差を目の当たりにする。卒業後、国際開発の仕事に従事し、アジアなどで働く。趣味は読書とアウトドア。モットーは「誰に対しても同じ言葉で話す」こと。

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