《ミャンマー軍事クーデターのその後》住居、仕事、お金、すべてを奪われても不服従運動を続ける市民たち─死も「怖くない」と語る彼らの"胸中"

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「受診する時には国民登録証を見せるでしょう? そうしたら軍側に記録が残ってしまう。それに、もし入院している間にCDM参加者とわかれば、そのまま刑務所に連れて行かれるかもしれない」

「CDMをやめたいと思ったことはない」

彼らの話の端々からは、常に軍に追われている緊張感がうかがえた。「この間、家の近くで鍋を叩いていた人を捕まえに、警察が来たんだ。僕は全然関係なかったんだけど、ヤバイ、捕まる! と思って心臓が止まりそうだった」「僕はいつもリュックに着替えを2〜3着詰めて、玄関に置いている。いつでも逃げられるようにね」

軍に追われていない私でさえ、街で兵士を乗せた軍用トラックとすれ違うだけで、一瞬ピンと気持ちが張り詰める。目の前の彼らは、苦労話でワイワイ盛り上がっているけれど、その笑顔の下ではストレスが少しずつ積み重なっているはずだ。

鉄道員たちが最後に給与を受け取ったのは1月。蓄えが底をつき、さらに家族が病気になったりして、CDMを諦めざるをえない人もいるという。

「続けられなくてごめん、と謝りながら戻っていくんだ。彼らの気持ちは僕らにもわかる。生活は大変だもの」

だけど、と彼らは言う。「最初からCDMに参加しなかった人や、昇進に目が眩んで戻った人は別だよ。彼らからは、今もたまに『職場に戻っても逮捕されないから、帰っておいで』なんてメッセージがくる。たぶん、仲間を連れ戻したら昇進させる、と軍に言われているんだ」

実際、CDMに参加しなかった職員は、クーデター後すでに2ランク昇進したのだという。能力や意欲とは無関係に、軍に従順であれば昇進していく。軍政時代の忌まわしいシステムが、すでに返り咲いている。

あなたたちは、CDMをやめたいと思ったことはないの? 最後にそう聞くと、3人は一斉に顔の前で手をふって否定した。「ないない、それはないよ!」「民主主義は、必ず勝つ。そして民主派の政府、NUGが政権を取り返したら、僕たちはまた鉄道の仕事をするんだ」

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