グーグル内部には「苦い砂」が入っている ラズロ・ボック人事担当上級副社長に聞く

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ですから、特定の企業をお手本あるいは反面教師にするというよりは、業界全体を眺めて決断をしてきました。つまり、特定の1つのエリアで何かを構築し、それを使い、それを更新する、ということだけを見ていると、気が付かないうちに競合に追い抜かれていることがある。そんなことが起こらないように気をつけてきたわけです。

――優秀な頭脳を採用するということに、グーグルは相当なエネルギーを掛けている。それが成長の源泉でもあり、当然だと思います。ただし、マイクロソフトも一時期はMSR(マイクロソフト研究所)などに優秀な研究者が集まっていました。これをどう思いますか。

「マイクロソフトが一時的にそのような立場にあったことをどう見ればいいのか」という質問ですね。

――グーグルが繰り返す恐れはないのか、ということを聞きたいのです。

これは、たぶん私だけではなく、誰もが心配していることでしょう。今の成功が、ある日、目を覚ましたらもうなくなっているんじゃないか、という心配は、グーグルの社員の誰にでもあると思います。

グーグルの製品テクノロジーの代表である検索は、1クリックするだけで、一蹴のうちにほかの検索エンジンに移行することができる。スイッチするということに対するバリアがほとんどないわけです。いかに今のユーザーのことを見ても、データを分析しても、一気にスイッチが進んでしまう恐れが全くなくなるということはありません。文化の面でも危険性があります。企業が大きくなると、小さかった時とは、どうしても違ってきてしまう。心配は、いろいろとあります。

おいしい牡蠣の中には砂がある

ただ、ほかのテクノロジー系の会社と、私たちが違うところがあるとすれば、それは恐らく誰も、今のままではダメだと思っていることです。もっと良くなるはずだといつも考えており、ここまで来たからといっても、「勝ったぞ」と言って、勝利宣言をする気持ちを誰も持っていません。

もちろん、常に改善するべき点を探し続けるのはフラストレーションになります。おいしい牡蠣の中に砂があるようなものです。砂があることによって、企業が大きくなったとしても、改善への意識を忘れずに済む。そのあたりが恐らくほかの企業との違いだと思います。

後編は15日(日)に配信します。

 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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