グーグル内部には「苦い砂」が入っている

ラズロ・ボック人事担当上級副社長に聞く

とは言っても、「書くこと」と「書かないこと」には一定の線引きもしました。グーグルにおいて実証できていないことは書いていません。例えば、無意識のバイアスであるとか、ダイバーシティに関しては、必ずしも完全な実証ができていなかったので、それは書かないということになりました。生煮えのもので出してしまえば、それを採用した企業が受けるメリットが少なくなってしまう、という配慮でした。

ただ、その後、いろいろ実証できたことも出てきたので、10月末にウェブサイト「re:Work(リ・ワーク)」を開設しました。新しい情報を盛り込むことによって、読者の皆さんにはさらに利益を得てほしいという意図がありました。

――『ワーク・ルールズ!』に紹介している仕組みの中で、すでに古くなっているものはありますか。

ラズロ・ボック(Laszlo Bock)グーグル上級副社長。1972年、共産主義政権下のルーマニア生まれ。マッキンゼーやGEに勤務。2006年にグーグル入社。従業員6000人から6万人に増えていく過程で、グーグルの人事システムを設計し、進化させてきた責任者

社員の業績をどのように評価するか、という点は、執筆時点では現在進行形のような書き方でしたが、落としどころが見つかったので変わったといえるかもしれません。

あともうひとつあります。最終的に採用を決める人物は(グーグルが持ち株会社アルファベットを設立して組織変更をしたことに伴い)、ラリーからサンダー(・ピチャイ・グーグル現CEO)に変更になりました。それ以外のことは、ほぼそのまま踏襲されています。

M&Aにおいて文化はもっとも重要

――グーグルの文化について踏みこんだことをうかがいます。ユーチューブのような大きな買収を含めて、たくさんの企業を同じ船に乗せてきましたが、文化の統合はどのように行うのでしょうか。

私たちも決して完璧ではなく、失敗例もあります。ただし、文化を最初に評価しておくというのは非常に重要なことで、文化的に両社のフィットがあまりにも悪いと思ったら、その時点で案件から手を引いてしまった例もありました。

買収先が小さい場合、例えば100人以下の従業員の場合には、そこで働いている人たちの多くに対してのインタビューを行います。ただ、大企業になると、それが難しい。それでもその企業がいったいどのような文化を持っているのかということを、十分に理解しようと努めます。あまりにも文化が違うなと思ったら、例えばモトローラやネストがそうだったのですが、個別の独立したグループとして存続させるやり方をとることもありました。

文化は非常に重要です。ビジネスであれ、製品であれ、テクノロジーであれ、どのように素晴らしいものを持っていたとしても、文化がうまく適合できないと判断した場合には、恐らく買収するべきではないのです。

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