グーグル内部には「苦い砂」が入っている ラズロ・ボック人事担当上級副社長に聞く

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――完全に取り込む場合もあれば別会社で残すこともある。ひとことで買収と言っても、いろいろなやり方があるということですね?

例えば、人材だけが欲しいという場合があります。製品はすごく格好いいし、POC(Proof of Concept)もしっかりしているんだけど欲しいのは人材だけという場合には、会社を買収したあとで、そのプロダクトは廃止し、人材だけを取り込む場合もあります。

それから、全く新しい分野に出て行くための買収もあると思っています。新たな分野に進出していくための探索です。さらには、純粋に今のビジネスに追加をするという意味で、検索とか、あるいは広告とか、そうしたプロダクトの改善につなげるために行う買収もあります。

アルファベットの狙いとは?

――持ち株会社のアルファベットを設立しました。これは人事部門から見ると、どういう効果がありますか。

おバカに聞こえるところがあったら怖いんですが、アルファベットはある意味で社内での実験です。すなわち、いろいろなリーダーたちに自由裁量、自律性を与えたら何が起こるか、ということを見てみたいと思ったのです。ある意味、大企業が陥りがちなワナは、世の中には決まったやり方があって、それが正しいやり方だと信じてしまうところにあるのではないか、と思っています。

グーグルの場合はこれまで人事に関しては、妥当な良さというのは確立できていると思います。ただ、いかにデータベースを活用する、テストする、検証する、それから新しいことをトライするということを続けていたとしても、そこには常に改善の余地が存在します。そのため、アルファベットは、ある意味そうした新たなことを実験してみる、トライしてみる場になると思っています。

――人事面でも、何か実験は進めていく予定ですか。

はい。新しいリーダーたちが、ビジネスの分野でどれだけ新しいことをやってくれるか、非常に楽しみです。ただ、いかんせんアルファベットは始まったばかりなので、それが何であるのか、というのは今の段階でははっきり分かりません。しかし、はっきりしているのは、今までに「無料でランチを出すのをやめよう」といった大胆な提案をしてきたリーダーは1人もいないということです(笑)。

――アルファベットの設立は、「マイクロソフトのようにはなりたくない」という危機感の反映でしょうか。

マイクロソフト1社をとって、具体的な考え方を決めたわけではありません。ただ何年にもわたって、このテクノロジー業界全体を眺めるということはしてきました。

企業は、いろいろな成長の仕方をします。一気に大きくなってそのあと横ばいになってしまうとか。伸びたけれども、どこかで頭打ちになって、そのあと下がってきてしまうとか。私たちも、グーグルにそうしたことが起こらないように、ということは常に考えてきたつもりです。

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