中高年のキャリアチェンジは「負け組」なのか 「過去の成功体験」を忘れる必要はない!

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「未経験の業務なんか今さらやれるか!」という憤りは、不安な気持ちからも引き起こされます。ところが、やってみたら意外に面白いかもしれませんし、違った才能が開花するかもしれません。仕事を楽しめたり、能力が向上したりすることは、年齢よりも気持ちに連動しやすいものです。

心理学でよく例に出される「ノミの実験」をご紹介しましょう。ノミは通常、2メートルの高さまでジャンプするそうですが、そのノミに高さ50センチほどの箱をかぶせると、ジャンプするたびに何度も天井に頭を打ち付けることになります。その状態をしばらく続け、その後に箱を取り去って飛ばせてみると、50センチしか飛べなくなるというものです。

これはあくまで例えですが、人間に置き換えると「ここまでしかできない」という現実が続いてしまうことで、自分自身の限界を感じ、それ以降、枠の外に飛び出せなくなる心理状態に陥る、ということが言えます。しかも人間の場合、「現在」だけでなく「将来」にも思いを馳せられますから、こういった傾向はノミ以上に強くなるでしょう。

こうして「この会社では、もう出世は見込めないだろう」「この歳では新しい仕事は無理だ」という思考が強まり、生活を維持するだけのために働く日々に心が疲弊、生きる意味さえ失ってしまうこともあります。

「過去の栄光」を忘れる必要はない

では、どうすればこんな状態から抜け出せるのでしょう? 「過去の栄光を捨てる(忘れる)べきだ」という考え方もありますが、私は、必ずしもそれが適切だとは思いません。

ご自身が築いて来られた実績ですから、簡単に忘れられないのは当然ですし、忘れる必要はありません。経験は何物にも代えられない宝であり、むしろそれを次の業務でどう生かすか、柔軟に考えることが大切です。

中高年になってから新しい部署に配属され、未知の領域の業務をすることになり「嫌がらせで異動させられた」と訴えていた方が、仕事を覚えていくうちに面白さを見出し、照れながらも「この仕事も悪くない」とお話しされる現場に、私自身たくさん立ち会って来ました。

新たな仕事の楽しさに目覚める方々に共通しているのは、「変わることを受け入れる」という姿勢です。もちろん、すぐには難しい場合もあります。しかし、変わることを「恐れない」、むしろ「慣れていく」ということを積み重ねていくと、いつしか、変化を楽しめるようになっていくものなのです。

これはリストラされた中高年層にも、同じことが当てはまります。

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