小泉牧場は、いつでも一般の人が中に入って牛の様子を見ることができる(牛舎の中には入れないが、外から様子をうかがうことはできる)。牛たちは穏やかに、澄んだ目でこちらを見ていた。

実は、夫婦ふたりで暮らしていた頃はあまりここに来たことがなかった。子どもがいる今だったら親子で牛を見に来たのだろう。年齢や家族構成によって、過ごし方や行く場所が変わり、目に映るものが変わる……同じ街を語っても、語られる様子は人によって微妙に違うのかもしれない。
「しっくりくる街」は人生のフェーズで変わる
牛舎を離れて、大泉学園通りを歩いてみた。大泉の駅から埼玉県新座市エリアまで、大泉のど真ん中を南北に貫く大きな道路だ。ここの桜並木が好きだった。何キロも続くピンクのトンネルは見応えがある美しさで、毎年楽しみにしていたことを思い出す。
「もしここで子育てをしていたら、どんな人生になっていたのだろう」
自然と私は、そんなことを考えていた。
大泉学園に住んでいた頃、なかなか子どもができなかった。結果の出ない不妊治療、夫婦関係の悪化。いろいろあり関係性が煮詰まった私たちはムードを変えようと、6年目の賃貸契約更新を期にあの部屋を離れた。



















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