25年の《秋ドラマ視聴率トップ10》が示す「潮流の変化」 脚本家は新鋭が頭角を現す一方、ベテランが苦戦も…
今期もっともSNSをざわつかせた『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)は4位にランクイン。
初回の放送直後にXでトレンド入りし、Googleトレンドの検索急上昇ワードにも入ったほか、SNSでは勝男(竹内涼真)のモラハラぶりが話題になり、いきなり大バズりした。
本作は、第1話の冒頭、婚約者の鮎美にプロポーズを断られる勝男のシーンから物語はスタートする。そこから、それまでの2人の同棲生活と、フラレた勝男の現在がカットバックしながら映されるが、鮎美に新しい彼氏ができたと思ったら別れ、勝男にも別の女性が現れるが、彼の心は鮎美に向いている。
そんな別れた後の2人の波瀾万丈の人生がテンポよく進み、勝男は少しずつ変わっていく。ツッコミどころと笑いのポイントが盛りだくさんにちりばめられながら、感傷的なストーリーの流れも入り、ちょっとしたカタルシスもある。
ラストの2人の結末は、納得できるようで、できないような、消化不良もある終わり方だったが、それが勝男の生き方であり、この物語らしい終幕なのだろう。ありがちな予定調和のスッキリ感ではなく、心にトゲが刺さったような余韻を残した名作だった。
従来のドラマ・フォーマットにとらわれない本作の脚本は、「第69回岸田國士戯曲賞」を受賞した劇作家の安藤奎氏。初の連続ドラマ脚本で、そのストーリーテリングが若い世代を引きつけた。これから先の映像作品での活躍が期待される新鋭だ。
考察が飛び交った『ちょっとだけエスパー』
ドラマファンの高い期待を集めていた、ヒットメーカー・野木亜紀子氏のオリジナル脚本『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)は5位。
名作『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)から1年ぶりの連続ドラマで、強豪ひしめくなかTOP5入りの健闘を見せた。
本作は、社会の片隅に生きる、社会に不要とされた大人たちが、薬を飲むことで“ちょっとだけ”エスパーになり、社長の命令を受けて世界を救うためにミッションをこなす姿を描く。SFラブロマンス、サスペンス、サイキックアクション、ヒーロードラマの要素が入り混じった複雑な物語だ。
野木氏といえば、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』『MIU404』(すべてTBS系)、映画『ラストマイル』など、物語のなかに現実社会のさまざまな課題を映し、弱者の立場や視点から現代社会のあり方を問いかける社会派作品が真骨頂だ。


















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