「美味しさにこだわると利益率が下がる」葛藤乗り越え…スープ業界の風雲児「クックピット」、ラーメン店からひっぱりだこの"大躍進"を叶えるまで

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ところが、「あそこの店の中華そばみたいにしたい」と具体的な店名が出た瞬間、話は一気にクリアになる。

「ラーメン界は“店名”が最強の共通言語だと気づきました。これは大発見でしたね」

ラーメン
取材時、クックピットで作っていただいたラーメン。麺と絡み合った澄んだスープが食欲をそそる(写真:筆者撮影)

成約までの期間が半年→2週間で決まることも

実際、クックピットのサイトでもユーザーの検索行動は店名ベースが中心だった。これをヒントに外園さんは「味の言語化」「店名を軸にしたレシピ化」に本格的に舵を切る。

技術者たちは全国の有名店を実際に訪ね歩き、スープ・タレ・油の構成を分析し、体系的にレシピ化した。そのデータは、店主とのコミュニケーションを劇的に変えた。

「以前は成約まで半年かかった案件が、今は最短2週間で決まることもあります。会話がフワフワしなくなり、やり取りの精度が上がったことが大きいですね」

アクセス数の急増とともに、問い合わせ内容も大きく変わってきた。家系、二郎系といった普遍ジャンルに加え、最近急伸しているのが「麻辣湯」と「ちゃん系」だ。

「麻辣湯はすでに爆発的ですね。うちのスープを導入していただいたお店が、オープンしたばかりにもかかわらずすごい勢いで売れています。スープ会社の問い合わせデータって、実は“未来のトレンド”が見えるんです」

ラーメンの嗜好変化は、まず仕入れ側の情報に表れる。クックピットはそのセンサーの役割も果たしつつある。

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