しかし、問い合わせが増えても、もうひとつの壁があった。ラーメン店はスープを最も大切な領域と考えているため、外部に任せる心理的ハードルが極めて高いということだ。
「スープはお店の“顔”です。そこに第三者の手が入るのは、やっぱり抵抗があります。だからスープを前提に商談しても、なかなか話がまとまらないことが多かったですね」
スープは「脇役」、逆転のアプローチが功を奏した
そこでクックピットが採った戦略は、スープをあえて「脇役」扱いするという逆転のアプローチだった。メンマ、チャーシュー、麺、タレといった周辺領域から改善提案を行い、1軒1軒の店と丁寧に関係を築く。店側が「任せても大丈夫だ」と納得した段階で初めてスープの話をする。この手順が、結果として信頼を最速で得るプロセスになった。
「スープをゴリ押ししない。むしろ“脇役”として寄り添う。その姿勢がよかったんだと思います。お店の世界観は尊重しつつ、その中で必要なサポートをする。結果的にスープの話もしやすくなるんです」
商談を重ねるうちに、外園さんはもうひとつ、大きな壁に気づく。味の要望が抽象的すぎる、ということだ。
「『美味しい醤油ダレがほしい』と言われても、方向性は無数にあります。どんな醤油なのか、どんな店の味が好みなのか。この部分がフワッとしているから、議論が堂々巡りになってしまうんです」



















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