「エジソンとイーロン・マスク」の"意外な共通点" 発明王が真に才能を発揮したのは《広報戦略》だった
実際、エジソンを理解するには、電球の発明を振り返るのがいちばんかもしれない。それはひとりの人間のひらめきではなく、100年あまり、世界のあちこちで変人たちが重ねたさまざまな実験の集大成だったのだ。
エジソンが異才を発揮したのは発明そのものではなく、その過程だった。
エジソンは現場のチームを組織し、最高のフィラメントを求めて何年も素材をテストさせ、開発のプロセスを微調整した。そしておおまかなアイデアが固まったところで完成はずっと先なのに早々と特許を取り、「エジソン・エレクトリック・ライト・カンパニー」を設立した。その特許は「ガラス製の球体にカーボンのフィラメントを納める――T・A・エジソン」という驚くほど曖昧なもので、詳しいことは一切書かれていなかった。
「エジソン=電球」となったわけ
とはいえ電球をめぐる真実の物語は、エジソンが自在に駆使した貴重な才能を浮かびあがらせる。今どきの言葉を使うなら、エジソンはメディア戦略の達人だった。
説明させてほしい。私たちはなぜ、エジソンから電球を連想するのか。電球を思いついたのがエジソンでないことは、すでに説明した。電気を使った照明がそれほど重要ならば、私はエベニーザ・キナズリーに――誰だか知らないけれど―― 一章を割いただろう。またエジソンが取った最初の特許は、電球ではなかった。エジソンの特許第一号は1868年の「電気式投票記録器」で、これは議会での評決を自動で記録する機械だった。
それとも電球という発明品が、エジソンを有名にしたのか。いや、それを言うなら蓄音機だ。エジソンは電球の2年前に蓄音機をお披露目し、無名のフリーランス発明家から一躍セレブ発明家と出世していた。
あるいは電球が世界を変えたせいなのか。だって結局、電球第一号を作ったのはエジソンでないかもしれないが、100年後も使われる電球を作ったのはエジソン――でしょ?
これも、ちょっとちがう。エジソンの電球は炭化させた竹をフィラメントに使っていた。竹を使った電球は安価で大量生産に向いており、ろうそくを月に200本買うよりはましだった。

















