「スタンド・バイ・ミー」監督夫妻殺害の闇:逮捕された次男(32)を蝕んだ家庭内の知られざる真実

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監督はロブ、製作会社はロブが創設したキャッスル・ロック・エンターテインメント。舞台はロサンゼルス、主人公はドラッグ依存症で更生施設に入れられたティーン、その父は政界進出への野望を持つ成功者という設定は、まさにニックとロブだ(ロブは筋金入りの民主党支持者で、政治的影響力でも知られてきた)。

このパーソナルな映画を作っていく中では多くのことを学んだと、当時、ロブとミシェルは語っている。ニック本人に耳を傾けるより、カウンセラーのアドバイスを信じたことを、今となっては後悔しているとも言った。

ニックが「決して近くなかった」という父との関係は、この頃、改善したように見えていた。

「ニックとまた仕事をできる機会があればぜひやりたい。でも、彼は彼の道を歩きたいのかもしれない。その気持ちはよくわかる」と、自身も業界2世であるロブ(彼の父は人気コメディアン、カール・ライナー)は、今後について思いを馳せてもいる。

ロブは「彼は頭が良いし、才能があるから、やりたいことを見つけるだろう」と希望を持っていた。

しかし、ニックが映画の仕事にたずさわったのは、この作品が最初で最後(共同執筆した友人も同様)。その後の10年間、ニックがどのような生活をしてきたのかはわからない。

家族写真でむっつりした表情のニック

この秋に北米で公開された、ロブが監督と出演、ミシェルがプロデュースする新作映画『Spinal Tap II: The End Continues』のプレミアには、兄、妹と並んで彼も出席していた。ただし、家族全員が揃ったその写真で、ほかのみんなが笑っているのに対し、ニックだけはむっつりした表情だ(下写真)。

ロブ・ライナー
左からロブ・ライナー、妻のミシェル、長女のロミー、逮捕された次男のニック、マリア・ギルフィラン、長男のジェイク。わずか3カ月後に悲劇が襲った(写真:ロイター/アフロ)

ロブにはもうひとり子供がいる。最初の妻、故ペニー・マーシャルと結婚した時に養子縁組したペニーの連れ子トレイシーだ。ロブとペニーとの離婚後もトレイシーは父と仲が良く、父の苗字で女優として活動を続けてきた。

彼女はNBCニュースに対し、「私は最高の家族に恵まれました。なんと言っていいかわかりません。今はただショックを受けています」と語っている。

この家族を大きな悲劇に導いたのは何だったのか。真相の解明が待たれる。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。
X:@yukisaruwatari
 

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