「監獄で銃を頭に突きつけられた」「怖い犬が入ってきた」。イスラエル軍に拘束された「イタリア人活動家」が激白…《ガザに向かった船団》の舞台裏

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ガザ地区への人道支援物資を届けること、そして何より、イスラエル政府による違法なガザ封鎖に対する国際的注目を喚起することを目的として行われた。

8月の終わりから9月にかけて、世界44カ国、500人もの人が50隻の船に分乗し、イタリアやスペイン、アフリカの港からガザへ向けて出発した。

日本からの参加者は、オランダ在住の女性、安村美香子さん1人だったためか、日本ではあまり大きく報道されなかったようだ。だが、欧州やアメリカでは、国会議員やジャーナリストも多く参加していたために注目が集まった。

そして9月後半に差し掛かり、GSFがイスラエルの管理する海域に近づくと、緊張は頂点に達した。イスラエル海域に侵入すれば拿捕する、とイスラエルは警告を発し、実際に何度もドローンでの威嚇攻撃を始めていたからだ。

イタリアで暮らす私もGSF動向に毎日注目し、乗員の無事を願い、ガザの人々の助けになることを祈っていた。そんな中で、私が特に眠れない夜を過ごしていたのは、友人が1人、そこに乗っていたせいでもある。

真っ黒な画面に「Thank you」と残し消息不明に

アブ
アブデラマン・アマジュさん(39歳)。出発前のシチリアの港にて。乗船にあたっては、航海訓練のほか、万が一の攻撃や拿捕に備え、危険を最小限に抑える取り決めも話し合われたという(写真:アマジュさん提供)

その友人アブデラマン・アマジュは、国際的なNGO組織アクションエイド・イタリアの代表を務めるアクティビストだ。とても知性が高く、政治家を目指しているらしい彼は、正義感も人一倍強く、間違ったことには断固として抗議するタイプ。

そんな彼がGSFに参加したと知り、彼がアップするインスタグラムの動画を毎日チェックしていたのだが、10月1日、真っ黒になった画面に「Thank you」というメッセージを残して、彼の行方はわからなくなった。

彼はイタリア育ち、イタリア国籍保持者だ。だが両親はモロッコの移民で、彼自身の名前もアラブ名だ。他のイタリア人よりも酷い扱いを受けるのではないか、そんな心配が私の頭に何度もよぎっていた。

その後、イスラエル軍がそれぞれの船の乗員を拿捕し、イスラエルへ連行し、牢獄へ数日監禁したことは世界中でニュースになった。

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