「3C分析」、常識だけど使えない人が多いわけ フレームワークとの正しい付き合い方

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たとえば、自社分析を見る際は、顧客ニーズや競合の戦い方を踏まえたうえで、「今後の勝負のキモ」となりそうな機能だけにフォーカスを当てて分析すれば事足ります。競合分析も、すべての競合を深堀りする必要はなく、「ここは要注意」と思うところを具体的に見ればいい。それ以外のところは、最初のマクロの分析において薄く広く眺めるにとどめて、ミクロの分析の段階においては大胆に捨ててしまっていいのです。

3C分析においては、①高い視点で全体を眺め、②当たりをつけ、③ピンポイントで低い視点に降りて具体的に見る。この「メリハリ」を意識するだけで、分析の密度はぐっと濃くなるはずです。

3:3Cを貫く「ストーリー」を作る

最後のポイントは、「ストーリー」というキーワードです。3C分析は、ややもすると、それぞれのCが独立した分析になりがちです。「顧客はこんな感じ。競合はこう。そして自社はこう。それぞれのCにおいてはこういう結果がわかりました……」

これでは、各項目の分析は深まったとしても、3つのつながりがないため、結果的に課題も浮き彫りにならず、アクションにもつながりません。

ちなみに、こういうつながりのない分析を、私は「穴埋め問題症候群」と呼んでいます。まるで算数や国語のテストのように、一問一答で穴埋め問題に臨むかのごとく、バラバラに考えてしまうのです。

では、なぜこのようなストーリーのない、バラバラな分析になってしまうのでしょうか。

それは、3C分析を行う前段に深い目的意識がないから、ということにつきるでしょう。たとえば、今こそ一気に価格破壊を起こして勝負を仕掛けるタイミングか、ということを強烈に意識していたとすれば、3Cのすべての要素は、価格ということを念頭に置いた分析になるでしょう。おのずとそこでストーリーはつながってきます。

逆に、もし「とりあえず3Cで……」のような意識で向かえば、穴を埋めることが目的化したような、ストーリー感のないアウトプットが出てきてしまいます。

自分は最終的にこの分析を通じて何に答えたいのか、それを最初に強く意識し、そして分析の過程でもそこから軸足をぶらさないことが、何よりも大事なのです。

以上、「高度」「メリハリ」「ストーリー」という3つのキーワードをベースに、3Cの使い方についてのポイントをご説明してきました。

しかし、これらのキーワードはお気づきの通り、特に3Cというフレームワークに限った話ではありません。物事を分析する際の「基本動作」とも言えるでしょう。フレームワークの「知識」と、こういった「動作」を押さえて、意味のある分析につなげていってください。

荒木 博行 学びデザイン社長

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あらき ひろゆき / Hiroyuki Araki

住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。フライヤーやNewsPicks、NOKIOOなどスタートアップ企業のアドバイザーとして関わるほか、絵本ナビの社外監査役、武蔵野大学で教員なども務める。『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』シリーズ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』(日経BP)など著書多数。

 

 

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