「3C分析」、常識だけど使えない人が多いわけ フレームワークとの正しい付き合い方

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たとえば、Customer(市場・顧客)分析で考えてみましょう。この分析においては、高い高度から「市場規模はXXX億円で、成長率がY%」のような市場全体を捉える視点で見ることも大切ですし、それと同時に「典型的な顧客のイメージは○○であり、その顧客が特に大事にしていることは○○で……」といったようなミクロな一顧客の視点も極めて重要です。

「市場・顧客」と言われているくらいですから、大きく「市場」を捉える視点も、具体的な「顧客」を捉える視点も必要なのです。

ただし、実際には、この分析にはかなりの偏りが出ます。

筆者が今まで見てきた事例を踏まえると、一般的には「高度数千メートル級」の高い視点に偏る傾向にあります。マクロな視点は、比較的外部からデータが取りやすく、数字で表現することもできるので、「分析した感」を出しやすいことが背景にあるのかもしれません。

しかし、よい分析をするためには、ミクロの分析が不可欠なのは言うまでもありません。一顧客を丁寧に追いかけるのは、一般的に手間がかかるので敬遠されがちではありますが、ネット検索などでは取れない「生の情報」こそが、分析に迫力を生むのです。

ここでは「Customer:市場・顧客分析」を例にあげましたが、高度を意識することが重要なのは、「Competitor:競合分析」や「Company:自社分析」においても同じです。大まかに見る視点と、具体的に見る視点を組み合わせてこそ、「生きた3C分析」になるのです。

2:仮説を持って分析に「メリハリ」をつける

2点目のポイントは、1点目の「高度」の話の延長になります。高低の視点を織り交ぜた分析をする、ということを申し上げましたが、ミクロな視点に立つと、見るべき対象は無数に広がります。ややもすると、「すべての顧客を細かく見なくては!」「自社のすべてのアクションを分析しなくては!」というような、網羅的な「ローラー大作戦」に陥ってしまいます。

しかしながら、もちろんそこまでする必要はありません。ミクロな分析は、大胆に仮説を立てて、絞り込んだ部分だけを具体的に見ればいいのです。

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