窪田:すごいご決断をされましたね。
酒向:確かに勇気がいりました。治療にはいろいろなアプローチがありますが、例えば脳卒中などでは、手術のあとのリハビリがとても大切です。その回復治療を自分の得意分野にして、患者さんをよくすることができるのは、やっぱり嬉しいです。天職だと思います。変わってよかったなと思って、今も一生懸命やっています。
窪田:超一流のリハビリ医が誕生したというのは、患者さんにとってもいいことだったと思います。脳外科医というご経歴を持つ酒向先生だからこそできるリハビリ治療として、どんなことが挙げられますか。
医師として自身の中に蓄積したデータは、AIにも負けない
酒向:脳科学を専門として長くやってきたので、20万〜30万人分の患者さんの脳画像を読み込んできました。さらにリハビリ医になってからは、「今この状態の脳が、リハビリをすることでその後どう変わっていくか」ということも追いかけながら2万人分の画像を読み込んでいます。
つまり、私自身の中に、脳損傷・脳機能・回復というデータがいっぱい入っているということです。これからはAIで脳画像を解析する時代になるかもしれませんが、今ならたぶん、誰よりもたくさんの患者さんの回復データと脳画像の関連結果を持っているのが私ではないかと思います。
そういう意味で私は、「患者さんがどこまでよくなるか」ということを一番知っている医師の一人だと自負しています。
窪田:ほかの先生だったら「ある程度よくなったし、これぐらいだろう」で終わってしまうかもしれないとき、酒向先生なら「私の経験からはもっとよくなるはず、まだ最高到達点ではない」と見通すことができるわけですね。
酒向:はい。有名な脳外科の先生から連絡が来ることもよくあります。「手術はうまくいったけれど、患者さんの状態が思ったほど芳しくない」とか、「もっとよくなるはずなのに、寝たきりになってしまった」とか。
現在の脳外科界で「神の手」と呼ばれる医師が全国にいらっしゃいますが、そうした方々からも私のところに、どこまで回復できるのかという相談や回復治療の依頼が寄せられています。


















