【愛情ホルモン】が高濃度になったはずなのに…「愛が憎しみに変わるとき」脳内で起きていること

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ときどき不安になり、耐えられないほどのさみしさを感じ、それゆえに集団とのつながりを求め続けることで、人間はまわりの環境や社会に適応してきたというわけです。

ポジティブな感情よりもネガティブな感情が強い理由は、おそらくポジティブな感情は生死にかかわらないものだからではないでしょうか。

肉食獣を例にすると、チーターが苦労して捕獲した獲物を、ライオンが横取りしようとして近づいてきたとします。

このとき、チーターの「獲物にありついた。嬉しい! もっと食べたい!」というポジティブな感情が、「ライオンが来た。危ない!」というネガティブな感情よりも強かったら、危険を回避する行動を取らずに獲物は奪われてしまうでしょう。いや、チーター自身も襲われてしまうに違いありません。

わたしたち人間に置き換えてみても、例えば好きな人と豪華なディナーを食べているとき、大きな地震が発生したらとっさにどんな対応をするでしょうか? おそらく、まずその場から逃げようと考えるはずです。

「美味しいからもっと食べたい! 幸せだからこのままずっとここにいたい」というポジティブな感情が勝っていたら、逃げ遅れてしまいかねません。危険を察知したら、動物も人間も獲物や食事のことは忘れて、必死で逃げなければ生き残ることは難しいのです。

体と脳が「戦闘モード」に切り替わる

「これは危ない! すぐ逃げなければ!」と察知したとき、分泌される脳内ホルモンはアドレナリンです。

アドレナリンは、腎臓の上にある副腎のなかの髄質から分泌されるホルモンで、心拍数や血圧を上昇させる作用があります。アドレナリンが分泌されることにより、目の前の恐怖や不安に対して、体と脳が戦闘モードに切り替わり、立ち向かうことができるというわけです。

アドレナリンが、「逃げろ!」もしくは「戦え!」と指令を出したとき、ごちそうのことはすっかり忘れているはずです。

こうしたネガティブな感情は、精神を研ぎ澄ませるだけでなく、素早く逃げたり、戦いに集中したりするために、余計な思考をストップさせる役割を持っています。

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