なぜ、菩薩モードの人は血糖値が整っているのか?→鍵を握るのはその裏にある「自律神経」だった

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そしてもうひとつ大切なのが、「なにをしないか」という視点。過剰な刺激や情報、SNS、あるいはカフェインなど、自律神経を乱すものを減らすことで、ゼロポイントへの期間はぐっと容易になるそうだ。デジタルデトックスなどを引き合いに出すまでもなく、これは充分に共感できる考え方ではないだろうか。

親が倒れたら、まず食べ物を口にする

親が倒れたという知らせが入ったとしたら、多くの人は動揺し、場合によってはパニック状態に陥ってしまうかもしれない。

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そんななか、「緊急搬送され、緊急手術に入った」という情報を受け取ったなら、さらに気持ちは落ち着きを失う可能性がある。しかしそれでも家族には、待合室で結果を待つ以外の選択肢はない。

そのため、ほとんどの人がそんなときには「とてもじゃないが、食べ物なんかのどを通らない」と感じるのではないか。なかには、「こんな非常時に食事をするなんて不謹慎だ」と感じる人もいるかもしれない。

それは当然の反応だともいえるが、そんなときこそ自分の体調を意識的に整えることが重要。家族が倒れたとしても、自分にできることは限られているのだ。そういう意味でも、もっとも合理的な行動は、自分自身の判断力と体力を保つことなのである。

もしここで、何も食べ物を口にせず感情だけで突っ走ってしまえば、交感神経が過剰に働き、肝臓や筋肉に蓄えられたグリコーゲン(肝臓や筋肉に蓄えられたエネルギー源)は一気に放出されてしまいます。
そしてそれを補う糖質がなければ、いわゆるエネルギー切れ(ハンガーノックに近い状態)に陥ります。(213〜214ページより)

だからこそ、少量でも糖質を含むものをとる必要があるという。おにぎりやバナナを食べる効能は前述したが、もし食べ切れないなら、おにぎり1口、バナナ半分、ゼリータイプの栄養食品など“消化しやすくエネルギーに変わりやすいもの”を、ゆっくり口に含んでみるだけでいいのだ。

その際は、一気にとるのではなく、「点滴のように少しずつ補う」のがポイント。そうして血糖値をある程度安定させれば、自律神経の過緊張も徐々に解け、落ち着きを取り戻すことができるわけである。

そういう状態になれれば、そこで初めて「いま、自分にできることはなにか」と冷静に判断することができるようになるだろう。

著者の外来でも、母親の急な余命宣告を聞いてパニックに陥った人がいたそうだ。だが、いま困っていることを一緒に整理し、「やるべきことを紙に書き出してみましょう」と提案した結果、落ち着きを取り戻すことができたという。

大切なお母様がいなくなるかもしれないというのは、とてもつらいことです。でもそれと「お母様がいなくなって困ること」はまた別の問題です。
この区別がつかなくなってしまうことが、パニックの原因の1つになっていることが理解できれば、直面した現実に落ち着いて対応できるのです。(215ページより)

だからこそ、「ゼロポイント」であることが大きな意味を持つのだろう。

生きていればさまざまなトラブルを避けることができないのだから、血糖値の安定を心がけ、「ゼロポイント」と共存できるように心がけたいものである。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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