Gemini 3登場で「AIに勝てない」と焦る若手が見落としている"正しい危機感"

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では、この審美眼はどうやって養われるのでしょうか。それは、自らが泥臭く動き、挑戦し、失敗するという「実戦(検証)」の場数からしか生まれません

「自分で書いた企画書がボツになり、上司に詰められた」

「良かれと思ってやった施策が、顧客からクレームを受けた」

「必死で準備した商談で、競合に負けた」

こうした「泥臭い失敗経験」や、身体を通した痛み、そして成功したときの喜びが蓄積されることで初めて、「これはイケる」「これはヤバい」という直感的なモノサシ(経験知)が形成されます。

Gemini 3の登場による最大の弊害は、この「失敗する機会」すらもスキップできてしまうことにあります。AIを使えば、そこそこの点数が取れる資料がすぐに作れます。上司に怒られるような初歩的なミスも減るでしょう。

しかし、そうやって「AIという補助輪」をつけっぱなしにして、泥臭い検証や失敗を避けてきた若手は、いつまで経っても「自分のモノサシ」を持つことができません。

結果として、AIが出してきたものが「最高傑作」なのか「ただの廃棄物」なのかを判断できず、AIの下請け作業員としてキャリアを終えることになります。これが「正しい危機感」の正体です。

AIのスペックより「自分の場数」を気にしろ

Gemini 3がどれだけすごかろうが、それはあくまで「道具」の進化にすぎません。重要なのは、その道具を使って、あなたが「どれだけの場数を踏んだか」です。

AIに頼って「楽」をするのではなく、AIを使って浮いた時間で、もっと多くの顧客に会いに行き、もっと多くの仮説を検証し、もっと多くの失敗をしてください

ネット上のデータでわかったつもりになるのでは価値になりません。自分で汗をかき、恥をかいた経験こそが、仕事に対する優れた審美眼につながり、AIを使いこなすためのレビュー力になります。

「AIがすごい」という話は、もう聞き飽きました。AIがどうとかを気にしている暇があったら、泥臭く現場へ行き、自分だけの経験知を積み上げましょう。

Gemini 3を使いこなす「審美眼」を持つ人材になれるかどうかは、その一点にかかっているのです。

三浦 慶介 株式会社グロースドライバー代表取締役社長

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みうら けいすけ / Keisuke Miura

1983年生まれ。一橋大学法学部卒業。サイバーエージェント、リヴァンプ、グロース上場企業スパイダープラスのCMOを経て2025年に独立。ゲーム・小売・飲食・教育・建設Techなど幅広い業界で事業成長を牽引。会員数150万を超えるヒットゲームの開発、数百万人が利用するCRMアプリの企画・開発、年間数十億円を運用するマーケティングチームの内製化、1年で生産性を160%改善する営業改革など、業種・業界を問わない事業成果を実現。現在は「AI時代の人材育成×事業戦略」を専門に、事業成長の伴走支援と知見の体系化に取り組む。著書に『AI時代に仕事と呼べるもの』(東洋経済新報社)がある。

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