「夜中に目が覚めてしまう」「寝つきが悪い」ーー。睡眠専門医が教える「ぐっすり」眠る方法。"プチ夜ふかし"がいい、ってどういうこと?

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② 平均睡眠時間に30分ほどプラスした時間を「寝床にいる時間」と設定し、起床時間と就寝時間を決めます。たとえば、平均睡眠時間が7時間なら寝床にいる時間は7時間30分。朝7時起床なら、布団に入るのは午後11時30分という計算になります。

③ その後は、睡眠効率を確認しながら調整します。睡眠効率は「実際の睡眠時間÷寝床にいた時間×100」で計算します。85~90%以上になれば寝床に入る時間を少し早め、80%以下なら寝床に入る時間を少し遅らせて調整します。

中途覚醒が増えて「睡眠効率」が低くなってしまったときに、寝床で過ごす時間を「減らす」ことが「プチ夜ふかし」のポイントです。

この方法が中途覚醒の改善に役立つのは、「睡眠圧」と「睡眠効率」に関係しています。

私たちは日中活動するほど脳に「睡眠物質」であるアデノシンがたまり、眠気(睡眠圧)が高まります。

「睡眠圧」が十分高まっていない状態で寝床に入ると、浅い眠りになりやすく、夜中に目が覚めてしまうのです。

そこで就寝時間を少し遅らせることで「睡眠圧」がより高まり、深い眠りが得られやすくなり、中途覚醒もしにくくなります。

「プチ夜ふかし」は、寝つきに時間がかかる人だけでなく、「寝つきは早いのに夜中に何度も目が覚める」というタイプの人にも効果的です。この療法を何週間か繰り返すことで、「寝床に入れば眠れる」という成功体験が積み重なり、中途覚醒や入眠困難の改善につながっていきます。

この睡眠制限療法を開発したのは、アメリカの心理学者アーサー・J・シュピールマン博士です。

1987年に発表された論文で、不眠に悩む人たちに「寝床で過ごす時間を意図的に制限する」という方法を試みたところ、大きな改善が見られることを報告しました。

以来、この療法は世界中の睡眠専門医によって使われ続けており、現在でも不眠症治療の標準的な方法のひとつとして、米国内科学会や欧州睡眠学会などの国際的なガイドラインでも推奨されています。

寝つきがよくなる筋弛緩法でリラックス

なかなか眠れない、あるいは夜中に目が覚めてしまったとき、おすすめしたいのが「筋弛緩法」です。これは、1930年代にアメリカの神経生理学者エドモンド・ジェイコブソン博士が考案したリラクゼーション法です。

手、腕、肩、足、おしりなど体の各部位に順番に力を入れ、筋肉を緊張させたあと、すとんと力を抜きます。たったこれだけのシンプルなリラクゼーション法です。

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