20代、30代の若いファン層の特徴は?
「ファンだから試合は勝った方がいいですが、若いファン層は40代50代の人ほどは勝ち負けには、それほどこだわらない。タイパを強く意識する世代で、『金と時間』の価値観が異なります。自分が球場で過ごした体験価値を最大化することを重視しています。これは男女とも同じでした。特に女性は『推し』ですね。たまたまニュースやSNSを見ていたら、ちょっとかっこいい選手が出ていて、甲子園で活躍した話とかが深掘りされている。で、キュンと来て応援するようになった、みたいなストーリーですね。
一方、男性は友達から誘われて、で、ワーっと盛り上がるこの瞬間が面白かったという人が多かった。そうした部分を商品やサービスに落とし込んでいきました。
ベルーナドームは入り口が1カ所なんですが、ここで地道ではありますが、今まではやってなかった、ファンクラブ入会促進のチラシも配り、所沢にできた『エミテラス所沢』という大型商業施設でもチラシを配った。いかにタッチポイントを増やせるかが大事だったのです。テレビCMなどの空中戦と、地道な地上戦を織り交ぜ、若い会員を増やしました」
「夏は暑いし冬は寒い」を凌駕する体験価値
しかしながら、ベルーナドームの「暑さ」と「湿気」は、今年も強烈だった。これにはどんな対策を打ったのか?
「これはオーナーの後藤高志のリーダーシップが非常に大きかったです。失敗してもいいから、チャレンジを続けなさい。と力強く我々を導いてくれました。さまざまな検討を経て、メインコンコースに大規模なミスト設備を導入して、涼をとれるようにしました。また立ち見席の『THERMOS ステンレスカウンター』にもミストポールを36カ所設置しました。さらに8月9試合限定で水を噴き上げる『ライオンズスプラッシュシート』も販売、さらに、1・3塁側メインコンコース入り口付近の屋根に設置する複数のノズルから水を噴出する『BIG WATERFALL』も設けました。
もちろん、それで暑さが解消したかと言えば、そうではないでしょう。でも、若い人に話を聞くと『日本全国、どこ行ったって暑いけど、そのことよりも“楽しい”が勝るから行くんだ』と。なるほどと思いました。ベルーナドームは夏は暑いし冬は寒い。この暑さ寒さはウィークポイントではありますが、それを凌駕する体験価値を設計できれば、ファンは来てくれる」



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら