今回の観客増の背景には、ドラスティックな機構改革があったわけだ。ちなみに奥村剛社長は、熊本工業、明治大、プリンスホテルを通じてアマチュア球界を代表する内野手だった。野球についても精通した経営者なのだ。
「チケットを買ってくださる方は、ライオンズファンとビジターファンに分かれます。基本的にはビジターファンはマーケティングの対象外ですから、ライオンズファンに集中してアプローチをしました。まずはファンクラブの会員を増やしていこう。そして次は、ファンクラブの方の来場回数を増やす。またファンクラブでもチケットを買わない人がいるので、購入者を増やす。
さらには、購入の頻度を上げ回転数を増やして、全体的なボリュームを増やす。ロジックツリーみたいな考え方でマーケティングをして、ファンクラブの会員数が前年比105%ほどになり、観客動員も増加しました」
若いファン層は勝ち負けよりも「体験価値」重視
具体的にはどんなマーケティングを行った?
「私が着任して間もなく、若いファンクラブ会員の方にデプスインタビューをしました。一人90分くらいかけて、何でファンクラブに入ったのですか? 何でライオンズが好きになったのですか? と深掘りをして調べたのです。それらの調査を前提として、プロモーションや、球場内の体験価値を高める設計をしました。
ライオンズのファンクラブは、中高年の男性が一番多いんです。私もですが、この世代は今後、所得が減ってくるので、球団として成長を維持していくのが厳しくなる。だから、20代30代の若い人を増やさないと、ということになりました」



















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