周知の事実ではあるが、タピオカブームに火が付いたのは、女子高生を中心にインスタグラムで拡散されたことに起因する。2017年は「インスタ映え」が流行語大賞にノミネートされた年で、若者を中心に、消費したものをSNSに投稿する文化が象徴的だった。
とりわけ商材が豊富だったゴンチャは、SNSの拡散とも好相性だった。ベースのお茶4種類に、色鮮やかなフルーツティーや期間限定商品、さらにトッピングもパール(タピオカ)やアロエなど4~5種類を揃えることで、注文の組み合わせは無数に拡がる。
いわば女子高生が、友人ら複数人でタピオカドリンクを頼んでも、まったく同じ一杯になる確率は少ない。それだけ写真を撮ってもカラフルで映えやすいうえ、カスタマイズする楽しさや、友人同士でシェアする体験も相まって、多感なティーンに選ばれるブランドへと発展を遂げていく。
月商は1店舗2000万円前後、1日延べ850人以上来店
「タピオカをトッピングするなかでも、ベースのお茶を変えたり、タピオカ以外にもアロエやナタデココを選んだりと、若い女性は幅広い楽しみ方をしていた。そうしたバリエーションの豊富さが購買動機となり、女子高生などが放課後に3~4人ぐらいで訪れる習慣がついて、『タピる』という言葉が生まれていったのではないでしょうか。
同時期にはわらび餅やバナナジュースも流行っていたが、やはり“SNS映え”という観点から見れば、タピオカが強い商材だったと見ています」
気づけば、ブーム最盛期のピークタイムは、2~3時間並ぶ光景もザラに見られた。1店舗当たりの月商は、それ以前の2~3倍に当たる2000万円前後まで膨らむ。2019年は、57店舗で、年間の延べ来客数は約1700万人。年中開店していると想定すれば、1店舗当たり、1日延べ800人以上が足を運ぶ盛況が続いた。
嬉しい悲鳴が続くなか、気になるのは「ゴンチャにとってタピオカブームが想定外だったこと」だ。
もちろんブームの恩恵は多大にあったなか、顧客層に偏りが生まれたり、ひいてはブランドのコンセプトにブレが生じてしまう懸念もある。もともとティーカフェとしての展開を描いていた同社にとって、突発的なタピオカブームは乱数となり得た可能性も否めない。
後編では、ゴンチャが、当時のタピオカブームを振り返りつつ、どのように現在の姿に着地したのか。その変遷を詳報する。
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