ゴンチャが日本に初上陸を果たしたのは2015年、まだ国内でタピオカブームが訪れる以前だった。以来10年近く展開を続けてきたなか、短命に終わった流行とは裏腹に、ゴンチャはユーザーが定着していることがうかがえる。
こうした息長いブランドであることを示唆する興味深いデータが、NPS(ネットプロモータースコア)だ。
これは端的に言えば、企業やブランドに対する顧客ロイヤルティーを数値化した指標だ。よく顧客満足度と混同されるが、NPSは「どれだけそのブランドを他人に勧めたいか」をスコア化することで、売り上げやリピート率との相関が高いとされている。
少しややこしいが、NPSの測り方を説明すると、まず顧客に「ゴンチャを親しい友人や家族に勧める可能性はどのくらいあるか」を0~10点で評してもらう。それらの集計を「0~6点を批判者」・「7~8点を中立者」・「9~10点を推薦者」の3層に分類。そして、「推薦者」から「批判者」の割合を引いた値がNPSとなる。
“タピオカなし”でも選ばれる理由
ゴンチャのNPSの数値は40前後で、かなり高い水準にあるとされる。2023年1~5月に、外食・中食市場情報サービス「CREST」が行ったNPS調査では、飲食店全体の「小規模チェーン・個店でマイナス29.2」、「大規模チェーンでマイナス19.9」という結果が出ている。昨今は物価高などの影響もあり、飲食チェーン店は0を超えれば優良とも言われるほどだ。
関連するように、リピーター率が高いデータも出ている。
ゴンチャにおける顧客の来店頻度の割合は、「週1回以上が10%」「月1回以上が20%」「それ以下のライト層が70%」という分布に落ち着く。LINEリサーチの発表によれば、2022年6月時のスターバックスで「月1回以上通う顧客が23%」というレポートが出ており、時期は違えどゴンチャの方が数値が高いことが見て取れる。
ではなぜ、ゴンチャは日常使いされるブランドになり得たのかーー。
実際に、店舗に並んで気付いたのは、「タピオカをトッピングする人が意外にも少ない」ということだ。
『東京駅グランスタ八重洲店』にて、先客のビジネスパーソンが注文する様子を傍観していると、注文中に「ウーロンティー、甘さ抜き、トッピングなしで」という声が聞こえてくる。てっきりフラペチーノのような、ドリンクとスイーツの中間のようなメニューを選ぶかと思いきや、スタンダードな「お茶」を注文している。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら