「韓国ではカフェ文化が栄えており、人口は日本の約半分ながら、カフェの市場規模は韓国の方が大きいと言われている。韓国では割と受け入れられやすい土壌にあった一方、日本ではコンセプトを明確にしなければ、継続的な事業として成立しないだろうと見ていた。
そこで決めたのが、『お茶をメインに提供する』というコンセプトでした。いまでこそタリーズやサンマルクなど、お茶に特化した派生ブランドの展開が目立っているものの、2015年当時はまだティーカフェのチェーン店がほぼなかった時代。差別化や専門性が出せるのではないかと青写真を描いていた。
特に意識していたのが、その頃から日本で存在感が強かったスターバックスです。絶大な人気を誇るスターバックスでも、全員がコーヒー好きかと言われると必ずしもそうではなく、コーヒーが苦手な人がティーを頼むケースも一定数あった。そこでティーカフェの立ち位置を明確にすることで、スターバックスに足を運ぶ方が、10回に1回程度ゴンチャを利用してもらえたらと構想していた」
タピオカはあくまで「トッピング」の一種
こうした上陸経緯からも、ゴンチャが主軸としていたのは、一貫して「お茶」だった。
前述した通り、2015年はタピオカブーム以前であり、ゴンチャでもタピオカはトッピングの一種という位置付けにとどまっていた。もちろん話題性の高さはあっただろうが、タピオカを主軸に展開を進めるつもりはなく、想定する顧客層も「女子高生などの若年層ではなかった」と振り返る。
「当初ゴンチャは、主に20代のOLや大学生をターゲットとして据えており、現在のように10代の女性が気軽に利用してもらうブランドとして設計していなかった。
2015年頃のお茶を飲む文化は、スーパーやコンビニで安価に買うか、ホテルのアフタヌーンティーで嗜むかで、消費傾向が二極化している状態だった。そこでゴンチャでは中間を狙い、ホテルのアフタヌーンティーほどではないものの、美味しいお茶を気軽かつおしゃれに飲んでもらえるコンセプトを敷いた。価格帯も、物価高が顕著になる以前で500~600円とあれば、若干高級なカフェのような感覚に近かった」
日本1号店こそ原宿だが、2号店目は住宅地の阿佐ヶ谷、3号店目は埼玉県入間市の三井アウトレットパークと、出店エリアはさまざま。10年前はゼロからティーカフェの市場を作っていく段階だったため、生活動線や買い物帰りなどタッチポイントを広げ、商圏や顧客層を絞らず日常使いをしてもらおうと画策していた。
その後ゴンチャは、2016年には5店舗、2017年には10店舗、2018年には23店舗を出店。「お茶を主軸にしたチェーン店」の黎明期として、堅実に展開を続けていた最中、2018年頃にタピオカブームが到来する。



















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