──なるほどなるほど、つまりお婆さんが特殊詐欺に騙されたんで、騙した連中に復讐したいってことですね。ふむふむ、息子さんではなく、お孫さんですか。確かに今は特殊詐欺も多様化していて、孫を騙(かた)る手口も多いと聞きますね。ふむふむ、経緯次第では面白くなりそうですね。
──ちなみに証拠は着信履歴の電話番号くらいしかないんですが、詐欺集団に辿り着けるんですか?
──では被害に遭われた日時、住所、電話番号を、動機の中に記しておいてください。併せて復讐レベルの選択もよろしくです。それではレポート楽しみにしております、アディオス。
詐欺集団に繋がる唯一の手がかり
翌日、健人は半信半疑のままに、今日に至るまでの経緯をレポートにまとめ、復讐レベルを選び、子供部屋同盟へ送った。その後に同盟からの連絡は途絶え、一週間が過ぎた。通信部にアクセスしてもチャットはオフラインで、あの万次郎なる人物も不在だった。
やはり俺は騙されていたんだ。金じゃなく動機を報酬に復讐を請け負うなんて有り得ない。必要とはいえ、俺は住所や氏名を含めた個人情報をレポートに記してしまった。もしかしたら情報抜きの詐欺サイトかもしれない。
健人はペットボトルを手に取り、壁へと放り投げた。ちくしょう、詐欺集団に騙される婆さん。意味不明のサイトに騙されるその孫の俺──。やはり俺自身が行動を起こさなければならない。特殊詐欺の決定的な証拠をつかんで、警察に提出するのだ。必要なのは動機なんかじゃない、証拠だ。
詐欺集団に繋がる唯一の手がかりは、電話番号だった。あの警察官が言うように飛ばし用の番号だろうから、ここからアジトを割り出すことは不可能だ。そもそもこの電話番号は、まだ生きているのだろうか。
試しに非通知設定で電話をしてみる。すると耳元でコール音が響いたので、慌てて電話を切った。
コール音が響くということは、この番号はまだ生きているんじゃないだろうか? 被害届を出さなかったから? そしてもしこの番号が、未だ詐欺集団のかけ子に繋がるとしたら──。
健人はある計画を思いつく。その計画には相応の危険が伴う。
でもうまくすれば、詐欺の決定的な証拠をつかめる。
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