「人生100年時代」の喪失感と向き合う。60代男性の「薄毛・中高年太りでおしゃれが楽しめない」の悩みに精神科医・和田秀樹氏の処方箋は?
一方で髪が薄くなるのは、DHT(ジヒドロテストステロン)という悪玉の男性ホルモンが増えている可能性があります。発毛薬として有名なプロペシアは、テストステロンがDHTになるのを抑制する働きがあるんです。
ただ、DHTはテストステロンの3倍くらい強力な男性ホルモンですから、ブロックすると男性機能が全体に低下してしまうという問題があります。
もしプロペシアなどの発毛薬を使い始めてから筋力の低下などが気になりだしたのであれば、テストステロンを測り、必要に応じて補充してもらうという方法があります。
もっともプロペシアを主に処方する皮膚科では、男性ホルモンについて詳しい医者は多くないかもしれません。
ホルモン補充療法をするのであれば、メンズヘルス外来や男性更年期を扱う泌尿器科など、専門医にかかるようにしてください。
筋力トレーニングや有酸素運動も、ホルモンの分泌を促進し、心身ともに活力を与えてくれるのでおすすめです。動機は不純かもしれませんが、ここのスポーツクラブには素敵なインストラクターがいる、とか、美女が多い、といった理由でスポーツクラブに行くことがあっても、私はいいと思います。
年齢を重ねたからこその深み
もっとも、若い頃と同じ体型をキープし続けるのは、芸能人でも難しいものです。
それに私は、中高年以降のダイエットには反対しています。ある免疫学の権威に言わせると、免疫細胞は皮下脂肪から生まれてくるので、脂肪を減らすと病気にかかりやすくなるそうです。
コレステロールにしてもそうですが、中高年以降は余っていることの害よりも、足りないことの害のほうが多くなる。マラソンなどの過度な運動も、活性酸素が増えてかえって老化を早めますから、ウォーキング程度の負担の少ないものを毎日少しずつ、長く続けるのが理想です。
見た目をキープしたい心は張り合いにつながりますが、どうしても落ち込んでしまうようならむしろ、一度アンチエイジングから離れてみるのもいいかもしれません。
鏡を見るとき、「髪が薄くなったこと」や「体型の変化」を気にするのではなく、いまの自分に似合うおしゃれを楽しもうという、前向きな視点を持ってみませんか。
体型に合った服や色使いを選ぶ、帽子やストールなどの小物使いで遊び心を加えるなど、年齢に合ったおしゃれを楽しむことで、鏡を見るのが楽しみになることもあります。



















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