膨張と縮小を繰り返し、やがて【宇宙の闇】に消えていく…「太陽」の50億余年にわたる"紆余曲折"

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地球は、太陽に飲み込まれたのでしょうか。それともかろうじて生き残って、重力だけを及ぼす存在になった「元太陽」の周囲を永遠に回り続けるのでしょうか。

あるいは、軌道の乱れなど何らかの影響で、太陽系の外にはじき出され、恒星間をさまよっているのでしょうか。

また、火星で原始生命が生まれていたとしても、生命の源である太陽が燃え尽きてしまったので、結局絶滅してしまうはずです。太陽系内の知的生命は、すでにほかの恒星系に移住していることでしょう。

私たち人類の子孫は、かつて自分たちの祖先を生み出した「母なる星」が宇宙の闇の中に消えていくのを、感慨深く見つめたりするのでしょうか。

白色矮星となった太陽が生命をはぐくむ可能性も

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ただし、「白色矮星の周囲を回る惑星にも、生命がいるかもしれない」と考える研究者もいます。

白色矮星は何十億年もの間、暖かさを保っています。白色矮星は恒星よりもずっと暗いのですが、白色矮星のすぐそばに惑星があれば、そこで生命が誕生する可能性があるのです。

とはいえ、恒星が赤色巨星になる過程で、恒星の近くの惑星が飲み込まれてしまうことは、すでにお話しした通りです。

したがって、白色矮星のすぐ近くに惑星が存在するためには、白色矮星になってから遠くの軌道の惑星が近くまで移動してくる、あるいは近くで新しい惑星が作られるというプロセスが必要になります。

現時点でそのようなプロセスは考えられていませんが、70億年以上先、白色矮星となった太陽の周囲で、太陽系の新たな生命が誕生することもあるかもしれませんね。

佐藤 勝彦 宇宙物理学者、東京大学名誉教授

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さとう かつひこ / Katsuhiko Katou

1945年香川県生まれ。京都大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修
了。理学博士。専攻は宇宙論、宇宙物理論。

東京大学大学院理学系研究科教授、自然科学研究機構長、日本学術振興会学術システム研究センター所長などを経て現職。

81年に初期宇宙の進化モデルである「インフレーション理論」を独自に提唱。その後、国際天文学連合宇宙論部会長などを歴任。著書に『宇宙論入門』『インフレーション宇宙論』『眠れなくなる宇宙のはなし』『ますます眠れなくなる宇宙のはなし』『宇宙137億年の歴史』『宇宙は無数にあるのか』など。

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