膨張と縮小を繰り返し、やがて【宇宙の闇】に消えていく…「太陽」の50億余年にわたる"紆余曲折"
この時、太陽の大きさは、200倍に膨れていれば地球の公転軌道近くまで、300倍なら火星の軌道にまで迫ります。超巨大化した太陽に地球や月が飲み込まれてしまえば、太陽の潮汐力によってバラバラになり、破片は溶けて蒸発してしまうでしょう。
こうして地球と月は、この宇宙から消えてしまうのです。ただし、地球が太陽に飲み込まれない可能性もあります。なぜなら、地球の公転軌道が現在よりも大きくなっているからです。
赤色巨星となった太陽の表面からは、大量のガスが放出されて、太陽は重さを大きく減らします。その結果、太陽の重力が小さくなるので、周囲を回る惑星の公転軌道が大きくなり(太陽が引っ張る力が小さくなるから)、公転速度は遅くなる(太陽が振り回す力が小さくなるから)のです。
太陽からどの程度のガスが放出されるかによりますが、地球の公転軌道半径は現在の1.4倍くらいの大きさになるという予想もあります。この場合、現在の火星の軌道くらいまで遠ざかることになります。
地球以遠の惑星、火星や木星、土星などの軌道も、やはり拡大します。したがって、地球が最後まで太陽に飲み込まれない可能性もありますが、すでに黒焦げになっているであろう地球は、事実上死んでしまったようなものといえるでしょう。
次は地球サイズに縮んで白く輝く天体になる
漸近巨星分枝の段階の太陽は、非常に不安定になって、星全体が膨張や収縮をくり返すようになり、大量のガスを周囲にまき散らします。そのために、太陽は重さが現在の半分にまで減り、やがて高温の中心部分がむき出しになります。
もはや燃料となる水素もヘリウムも使い果たし、燃えかすの酸素や炭素だけが残った中心部は、自分の重力でゆっくりと収縮していきます。
じつは酸素や炭素も、もっと高温(7億度くらい)になれば核融合を起こすのですが、太陽くらいの重さの星だと中心部の温度はそこまで上がりません。そのため、太陽の内部でもはやエネルギーは作られず、中心部はどんどん収縮していきます。
しかし、収縮はある段階で止まります。物質を超高密度に圧縮した場合に、電子同士に反発力(縮退圧といいます)が生まれ、この力が収縮を止めるのです。この時、星は地球程度の大きさになり、高温で白く輝きます。これを「白色矮星(わいせい)」といいます。



















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