全自動トイレに介護用品・・・猫ファーストのケア製品の進化 「猫に"なりきり"商品開発」代表の本気がすごい会社

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このように、1つの商品を開発すると、関連して別の商品のアイデアが生まれることも多い。

最近、力を入れて取り組んでいるのが介護用品だ。

商品のモニターを務める愛猫のミッシェルちゃん(写真:クロス・クローバー・ジャパン)

「困りごとの内容が深くなってきたと感じる。がん、腎臓病などで療養中の猫も増えてきた。一人暮らしの飼い主も多く、会社を休んで世話をしている。とくに腎臓病の猫のケアは一人だと大変だ。これからは高齢の飼い主が高齢猫の介護をすることも増えてくるだろう」

欠かせない職人の存在

腎臓病の療養で役立つのが保定袋「ねこずきのおくるみ」。皮下点滴の際に猫に着せることで、飼い主一人でも猫を安全にケアできる。

ねこずきのおくるみ(写真:クロス・クローバー・ジャパン)
ねこずきのおくるみ(写真:クロス・クローバー・ジャパン)

自身の愛猫を腎不全で亡くし、自宅で介護できていたら、という後悔から6年かけて開発した。ポイントは、足が床につくと落ち着く猫の習性に合わせて作られており、1人でも、猫を暴れさせず保定できることだ。

そしてこうした、猫の習性に合わせたものづくりに欠かせないのが、職人の存在だという。

磁器や南部鉄器の職人、縫製職人などは地元・岩手の工場、工房に依頼している。しかし国産であれば地域は限定しておらず、例えば爪切りは新潟の工場に依頼しているそうだ。

猫用の食器を手がける磁器職人(写真:クロス・クローバー・ジャパン)
エリザベスカラーやおくるみは婦人服などを手がける縫製職人に依頼している(写真:クロス・クローバー・ジャパン)

「丈夫で長く使えるものを作りたいというのが理由だ。プラスチックなどは壊れたとき間違って食べてしまう危険もある。また猫にとって新しいものはストレスで、慣れるまでに時間がかかる。ストレスをなるべく少なくしたい」

人間でなく猫用、そして独特な形状ということで、最初は嫌がられることも多い。しかし諦めずに説明し、猫が使っている様子の動画を見せるなどして、理解を得ていったそうだ。

今後も事業を通じ「猫が幸せになる手伝い」をしていく。不思議なもので、猫を介すると人との距離が縮まる。猫の健康について専門家が解説する「猫好きの学校」もサイト上で運営している。

「猫は人間が選んだものしか使えない。正しい情報を知り、猫に本当に役立つものを選んでもらえればと思う」

猫を観察し、猫になりきることで、世にないものを生み出してきた。規模は小さいながら、猫ケア用品の市場において、同社の果たす役割は大きい。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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