全自動トイレに介護用品・・・猫ファーストのケア製品の進化 「猫に"なりきり"商品開発」代表の本気がすごい会社

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そんな猫ファーストな姿勢がユーザーの信頼を勝ち取り、客はリピーターが54%を占める。多頭飼いの猫のためや洗い替えなどで、1人の客が複数注文する。動物病院の待合室などで話を聞いて、注文してくる客もいる。

また新たな商品のアイデアも、客の困りごと相談から生まれることがほとんどだ。

起業して間もない頃は知識もなく、アイデアを他社に真似されることが続いた。近年は特許申請をするようにしている。

「猫に役立つことを仕事にしたい」と起業

2005年に起業したきっかけは、動物愛護団体での経験から「猫に役立つことを仕事にしたい」と感じたこと。当初運営していた実店舗はうまくいかず、売り上げがゼロの日もあった。ネット通販に切り替えたことが突破口となる。

「と言ってもはじめは時間があったので、お客様に電話をして、なぜ買ってくれたのか、困っていることは何か、聞くようになった。しかし飼い主の困り事を解決できる商品がなかなかないことに気づいた」(クロス・クローバー・ジャパン代表取締役 太野氏)

ないものなら自分で作るしかない、と、猫のための商品開発を始めたのが2008年だ。ものづくりの1号として猫用のエリザベスカラーに着手。直接のきっかけは飼い猫の病気だった。

「その当時は猫専用のエリザベスカラーがなく、犬用のものをつけていた。硬くて重いカラーが負担になって、元気がなくてかわいそうだった」(太野氏)

人間サイズで自身が試すという開発手法もその頃からだ。

「猫はどうしているんだろう? という気持ちで自分でも体感してみる。匂いや、着けたときの感じを確かめる」(太野氏)

エリザベスカラーをつけていても食べやすいか、人間用を作って試している(写真:クロス・クローバー・ジャパン)

エリザベスカラーは結局、開発に3年を要した。またエリザベスカラーをヒントに開発されたのが食器だ。フチが斜めの形状で、餌が皿の中央に集まるよう、内側に「返し」がついている。猫を観察し、舌で餌を押し出すようにして食べる習性から、合う形状を考えた。エリザベスカラーをつけていても食べやすいよう工夫されている。

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