「ゴキブリ騒動」は次の景気後退の予行演習か、自動車ローン会社の信用事例は良い警鐘に
こうした事態は信用市場が過去10年で著しく不透明化したことの表れと言える。2008年の金融危機後、米議会は大手銀行のリスク保有を制限したが、それが「シャドーバンキング」と呼ばれるノンバンク(非預金金融機関、NDFI)の拡大を招いた。プライベートクレジットを提供するこれらの業者は、借り手の事情に合わせた柔軟な融資が可能である一方、外部からは実態が見えにくく、リスクの所在が不明瞭になりやすい。
NDFIによる融資が急増する中、銀行側はその拡大を批判しながらも、自らも参入している。ダイモン氏は以前から、プライベートクレジットの緩い契約条件を「金融危機を招く処方箋」と警告してきた。一方で、ムーディーズによるとJPモルガンを含む大手銀行は現在、NDFI向けに年間1兆2000億ドル、そのうち3000億ドルをプライベートクレジット向けに融資している。つまり、一部の「ゴキブリ」は自分たちの内部から発生している可能性もある。
過度の不安は不要との姿勢
警戒すべきかどうかを巡る議論は続いている。ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモンCEOは10月下旬、相次ぐ信用損失にも過度の不安は不要との姿勢を示した。
JPモルガンの決算説明会でダイモン氏に質問を投げかけたウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨー氏は、一連の信用不安を次の景気後退に備える「小規模な防災訓練」と位置付ける。「こうした出来事は、ローンが不良化するという現実を思い出させる良い警鐘だ。銀行や投資家に健全な疑心暗鬼を喚起する」と語った。
著者:Christopher Beam
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