転機を迎える日本の人材育成(その2)

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●メーカーが非メーカーより10ポイント以上高い「語学研修」と「営業研修」

 「2011年度に実施したビジネススキル系研修」でもっとも多いのは「ビジネスマナー研修」だった。メーカー全体では49%、非メーカー全体では41%ともっとも高い。ただし中堅社員向けの「ビジネスマナー研修」がそんなに多いとは思えないので、おそらく新入社員向けの「ビジネスマナー研修」が大量に混じっているのだと思われる。
「ビジネスマナー研修」を除くと、他のビジネススキル研修はメーカーと非メーカーでかなり異なっている。
メーカーの順位は、「営業研修」33%、「語学研修」と「ロジカルシンキング研修」が29%、「コンプライアンス研修」26%、「コミュニケーション研修」24%、「リーダーシップ研修」23%。
非メーカーは、「プレゼンテーション研修」と「ロジカルシンキング研修」が28%、「コミュニケーション研修」と「リーダーシップ研修」が27%、「コンプライアンス研修」24%、「語学研修」と「営業研修」が17%だ。
ほぼ数値が同じなのは「コミュニケーション研修」、「ロジカルシンキング研修」、「コンプライアンス研修」、「リーダーシップ研修」の4つ。「語学研修」と「営業研修」はメーカーが10ポイント以上高い。
メーカーは海外に輸出しているか、これから進出するかは別としてグローバル化の波に洗われるから「語学研修」が多いのだろう。また今回の調査では「営業研修」のポイントが高い。非メーカーは「営業研修」を人事部門ではなく、現場に委ねている例が多いのかもしれない。非メーカーは内需型が多く、「語学研修」が少ないのはうなずける。

図表6:2011年度に実施したビジネススキル系研修
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●今後に重要なのは「リーダーシップ研修」と「コミュニケーション研修」

 「ビジネススキル系研修の今後の方向性」で、現在より数値が大きくなって目立つのは「リーダーシップ研修」(25%→33%)だ。「コミュニケーション研修」も25%→30%と増えている。
「キャリア開発研修」は13%→17%、「グローバル人材研修」は9%→11%、「面接官研修」は6%→10%と増えている。
減っているものの代表は「コンプライアンス研修」(25%→15%)だ。他の研修は能力開発につながるが、コンプライアンス(法令遵守)は成果に直結するものではないし、繰り返し受講する必然性が薄いからだろう。

図表7:ビジネススキル系研修の現状と今後の方向性(全体)
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