業務は高度化すれど人員補充はなし…社内の9割弱から「不満あり」といわれてしまう【人事部】の苦境

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②その時代の主たる産業に最適なモデルが示されてきた

これまでの人事の成功体験は製造業など類似した産業において、目指せ海外列強国、目指せ豊かな日本、など明確に目指す姿やモデルが示されて実現してきました。

明治期の開国直後はアメリカやイギリスの経営管理を取り入れ、終戦後は国や経済団体が主導して能力主義的人事制度・賃金制度を推進し成果を上げてきています。

今の人事を取り巻く困難な環境

現代の日本はインターネットの誕生以後、産業が多様になり共通して効果を発揮するモデルや手法が存在しにくくなってきています。

成果主義人事制度なども一部の業種や会社では非常に高い効果を上げましたが、数年トライして成果主義が合わないと感じた会社が多く、元の職能型人事制度に戻っていく姿も多く見ています。また、その後のジョブ型などでも類似の状況が見られています。

これらがバブル崩壊後に「海外のモデルやトレンド、他社事例を参考に自社に取り入れてもうまくいかない」という日本の人事と経営の停滞にもつながっているように思えます。

過去の成功パターンであったように、日本企業の多くには「なにか新しい海外事例やトレンドとなる考え方があれば、自社に取り入れることでうまくいくのでは」という期待が残り続けているのではないでしょうか。

産業自体が多様化した今、だれかが自社に最適なモデルや解決方法を生み出して持ってきてくれる、そのようなことが実現されるのはあと10年、20年待ってみても難しいかもしれません。

データからも人事の置かれている状況を見てみましょう。

『日本の人事部』のプロジェクト「シン・人事の大研究」で行われた「人事パーソン全国実態調査2022」(『シン・人事の大研究』ダイヤモンド社)によると、人事の仕事の特徴として「①新規課題沼」「②エンドレスワーク」「③社内ぼっち」が上位になっています。

順調に課題だらけであることに加え、経営と現場いずれからも人事の仕事がどんな困難に立ち向かっているか見えず、また人事側も査定など機密度の高い情報を扱うがゆえに孤独化しがちな状況もうかがえます。

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