今もこの分類は変わっておらず、熱い飲み物は事実「発がん性物質」なのです。これを聞くと、怖くありませんか?
このエビデンスを現実的に解釈するため、その根拠をしっかり見ていきましょう。
熱い飲み物が「発がん性物質」となった根拠
そもそも、熱い飲み物は物理的に咽頭から食道を刺激し、細胞にダメージを与えるので、発がん作用があるのは辻褄が合います。過去に動物モデルでは、この関連性は明確に示されていました。
しかし、大事なのはヒトを対象とした研究です。どういう研究が根拠となったか、Lancet Oncologyという権威高い雑誌にまとめられています(※2)。
これによると、最も重大な科学的根拠は、南米でマテ茶と食道がんの関連を調べたもの(※3)と、イランで紅茶との関連をみたもの(※4)です。
マテ茶とは、南米の伝統的な飲み物で、マテの葉や枝にお湯を注ぎ、慣習的にはストローで飲む飲料です。マテ茶は伝統的には65℃以上と高温で飲むものですが、最近ではぬるくしたり冷やしたりして飲むこともあるそうです。高温のマテ茶をストローで飲むと、とても喉や食道に悪そうです。
南米で行った研究の結果、マテ茶の全体の消費と食道がんの関係はあったのですが、「あたたかい」マテ茶には有意な関連は認められず、「熱い」か「とても熱い」マテ茶には関連が見られました。
イランの研究では、これと同じようなことが、より詳細に検証されました。「ぬるい〜温かい紅茶」(60℃未満)と比較し、熱いもの(60~65℃)は2.1倍、とても熱い(65℃以上)は8.2倍の食道がんリスクが認められました。
さらに、お湯を注いで4分冷ました紅茶と比較し、2~3分しか冷まさなかった場合は2.5倍、2分未満の場合は5.4倍の食道がんリスクが認められました。
このように、複数のヒトでの研究で「熱い飲み物と食道がんの関係」が確認されたので、熱い飲み物は「発がん性物質だ」と結論されたのでした。


















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