俳優・山本學が感じた【認知症で衰えるのは「知の働き」だけではない】という"当たり前の現実"
山本 ホモ・サピエンスは個人の欲を抑え、個を超えて協力することを悟った種族です。でも、現代人は動物的な意思や感情を奪われて、すべてが「言葉」の奴隷になってしまっているイメージがあります。
「論破」なんかは、その典型に思えますね。そこで知を語るのは、ちょっと違うんじゃないかという違和感が拭えないんです。
「老いてなお盛ん」になるための姿勢
朝田 そうやって、クラスターの中で裸の王様になって満足するような傾向が、老若男女問わず、最近は強くなってきている印象ですね。
山本 僕は自分に自信がないので、自分を過剰に飾って見せたいと思ったことがなくて、いつも「学ばなきゃ」というコンプレックスにとらわれて生きています。
だから、自分の「知」だけで我を押し通そうとしている人を見ると、「世の中を知らんのだな」「世界っていうのは、あなたが思っているよりはるかに広いんですよ」と、ちょっと憐れむような気持ちになります。
愚者の自己防衛ですね(笑)。芝居の世界に入って協力の大切さを悟ったので、前頭葉が少し大きくなったんですかね。
朝田 ややもすると知ばかりが偏重される昨今ですが、そこに注目が集まれば集まるほど、「情」や「意」の価値が新たに出てくる。
そこに気づいて、これまでの経験と反省をもとに、周囲や社会とうまく調和して、情と意を活かして生き抜いていく。
「老いてなお盛ん」になるためには、こうあるべきなのかもしれませんね。
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