どんなに努力しても防ぐのは困難…16分に1回は「心ここにあらず」の状態になってしまう"脳の宿命"
さらにこのワーキングメモリの優れているところは、①で情報を脳にストックしておくときに、いくつかの関連する情報を1つの「かたまり」として覚えられる点です。
この「ひとかたまりになった情報」をチャンクと呼びます。
たとえば、プレゼンテーションで「売上データ」「競合の動向」「市場の変遷」「今後の予測」という4つについて話すときも、「別々のことを4つ覚える」のではなく、「プレゼンという1つのチャンクに統合する」ことで、記憶に定着しやすくなります。
もっと身近な例でいうと、電話番号もそうです。「090〇〇〇〇××××」という11桁を丸暗記するよりも、「090-〇〇〇〇-××××」とハイフンを入れて3桁、4桁、4桁にチャンク化(チャンクをつくること)したほうが覚えやすくなりますよね。
ただ残念なことに、「ワーキングメモリ」が1度に記憶しておける記憶容量(=チャンクの数)は、4つしかありません。しかも、この数を増やすことは脳の構造上、不可能。つまり、やるべきことが5つ以上あると、それだけで容量がいっぱいになって頭から離れていくのです。
「必要なタイミングで必要なことを思い出せない」という方から相談を受けたことがありますが、そうした要領の悪さは、ワーキングメモリの容量がいっぱいになって、処理能力が追いつかないから。
逆にいえば、ワーキングメモリの容量に余裕ができれば、自然と記憶がスムーズに引っ張りだせるようになるんです。
脳は16分に1回は「心ここにあらず」になる
日々の生活は、脳内の限られた資源の奪い合いです。脳の中で1度にストックできる4つの容量をめぐり、激しい「椅子取りゲーム」が常に繰り広げられています。
この相談を寄せてくれた男性のように、心がフラフラとさまよって、別のことを考え始めてしまっている状態を「マインドワンダリング」といいます。「1つのことをしているときに、別の作業を思いつく」、かつ「その瞬間に、前にしていたことは頭から消えてしまう」のが特徴です。


















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