【吉野家】新メニュー「とんこつ醤油牛鍋膳」で肝煎りラーメン店・ばり嗎と初コラボ! 気になるお味と、見えてきた"新たな戦略"

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実際の味わいも高い完成度を誇る。コク深いとんこつ醤油スープが牛肉の脂と溶け合い、ニンニクの刺激が食欲を加速させる。ごはんが進む濃厚な味ながら、スープ自体にはバランスがあり、重すぎず最後まで楽しめる。具材に平打ちのうどんが入っているところもセンスが良い。

“牛丼屋で食べるラーメン鍋”という異色の組み合わせながら、どこか「吉野家」らしい安心感がある。食べ終えた後には、鍋メニューとしての満足感と、ラーメンを食した時の余韻が共存している。

“社内コラボ”でブランド資産を最大活用

吉野家の看板
「とんこつ醤油牛鍋膳」を皮切りに、新たな展開も見られそうだ(筆者撮影)

このラーメン的な体験を、既存店舗で提供できる点が今回のコラボの肝だ。つまり、「ばり嗎」という自社ブランドを店舗数48店の枠から、全国1200店の「吉野家」網に乗せることができるわけである。これは単なるコラボではなく、ブランド資産の最大活用だといえる。

今後、吉野家HDは傘下の他ブランドとの連携も視野に入れているとみられる。グループ内における各ブランドの味や技術を横断的に活用し、既存業態の商品開発に反映する。これは、外食産業では珍しい社内コラボモデルである。

ラーメン事業を単なる別業態として展開するのではなく、そのノウハウを牛丼、うどん、鍋など他事業に還元していく。これはグループ内のシナジーを最大化する新しい試みであり、単一ブランドでは生み出せない商品群を創出する可能性を秘めている。今回の「とんこつ醤油牛鍋膳」は、その第一歩として位置づけられるだろう。

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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。東洋経済オンラインアワード2024にて「ソーシャルインパクト賞」を受賞。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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