次に好きになったのは飲食店の常連客に紹介されたイケメン庭師。香奈さんは職人への憧れがあり、彼の見た目も好みだったため、「オレは誰とも付き合わない。結婚もしない」と断言されたにもかかわらず、追いかけ続ける4年間を過ごした。
「いわゆる都合がいい関係、ですよね。『誰にも迷惑をかけていない! 何の役にも立てないよりも都合がいい女のほうがマシだ』という理由をつけて突っ張っていました。でも、(好きな男性から)大事にしてもらえないと、自分で自分のことも大事にできないんですね。無理はよくないな、と感じ始めていました」
そんな状況で出会ったのが圭介さんだった。花見には何でも話し合える間柄の妹夫妻が同席していたため、圭介さんに興味を持ったことを報告すると、妹からこう諭された。
「お姉ちゃんはまず自分の身の回りをちゃんとしないといけない。そうしないと阿部さんへのエントリーシートを書く資格はないんだよ」
お相手の恋愛脳は、中学生レベル?!
ようやく目が覚めた香奈さんは、イケメンだが不誠実な庭師に別れを告げ、圭介さんに集中することにした。ここで活躍してくれたのが妹の夫だった。彼は圭介さんとすでに親しくなっていたため、圭介さんと香奈さんの橋渡し役を買って出た。まずは4人で遊び、2人が自然に連絡を取りやすい雰囲気を作ってくれたのだ。
しかし、デートを重ねるようになってからも関係が深まることはなかった。名古屋まで一緒に美術展を観に行っても、夕食もとらずに解散・帰宅してしまう。
「私に気がないのかな、とも思いましたが、私が興味を示したDVDやCDをこまめに貸してくれるんです。そのときにわかりました。圭介さんの恋愛脳は中学生レベルなんだ、と(笑)。ずっと私が押し気味だったけれど、中学生相手に短期勝負をかけるのは無理ですよね。私はどうしても結婚したいほうではないので、気張るのはやめて自然体で行くことにしました」
圭介さん、散々な言われようである。うつむき加減で料理を食べているので、「反論はないか」と彼に声をかけてみた。すると、人の良さそうな笑みは崩さずに意見を述べ始めた。
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